北海道にあった国鉄全路線の踏破が目的
RTA(リアル・タイム・アタック)というゲームの遊び方がある。ゲームをスタートしてからクリアするまで、実際に経過した時間を競い合う。
オンラインとオフラインのハイブリッドで行われるRTAイベントとしては国内最大級を誇る「RTA in Japan」。年代・ジャンル問わずさまざまなゲームのRTAが披露される。ときには「えっ、そんなゲームがあるの?」という発見もある。
バス運転士VTuber・常陸秋子氏による、「昭和58年に実在した北海道の国鉄路線に乗り続ける」というゲームのRTAもそのひとつ。そんな常陸さんに話を聞いた。
――常陸さんがRTAを行なった「新・北海道4000km」はどういうゲームなんですか?
常陸秋子さん(以下、同) 2021年に発売されたPC用のゲームで、昭和58年(1983年)夏の北海道を舞台に、当時の北海道にあった国鉄全路線の踏破を目的としています。長さにして、4000km。
――日本列島の全長(南北で約3000km)より長い距離じゃないですか。ただ乗るだけなのですか?
駅ごとに記念写真の撮影やスタンプラリーなどのミッションがあり、条件を達成して軍資金を稼ぎながら乗り潰していくことになります。このゲームには健康度というパラメータがあるのですが、お金は乗車賃のほか、食事や宿泊をして健康度を維持するために使います。
もしお金が尽きて無賃乗車になった場合や、健康度がゼロになったらゲームオーバーになります。限られた予算でいかに効率よく北海道を回りきるかがカギのゲームです。

このゲームのすごいところは実際の時刻表をもとにしているところですね。どの時間の電車でどの方向に向かい、どうやって乗り換えするか。これを考えるのがもう楽しいわけです。
ちなみに有志が作った攻略本もあるのですが、よくあるゲームの攻略本のように各種テクニックや攻略法が書いてあるわけではなくて、大半が各駅の時刻表で占められています。攻略本というか、ただの時刻表ですね。
――なかなかマニアックなお話ですが、やはり昔から電車がお好きだったんですか?
そうですね。小さいころから電車に乗るのが好きでした。4〜5歳のころには茨城の水戸駅から祖母の家の最寄り駅まで、電車で30〜40分程度の道のりを一人旅していたそうです。
小学生になると、茨城から仙台や新潟に日帰りで行くこともありました。当時は全然観光に興味がなくて、ひたすら電車に乗っているだけという感じでしたね。
いわゆる「乗り鉄(鉄道に乗ることを主な趣味とする鉄道ファンのこと)」にあたると思います。ただぼーっと、知らない景色が流れていくのを見るのが好きなんですよね。
――今はどのようなお仕事を?
地元で路線バスと高速バスの運転手をする傍ら、バス運転士VTuberとして活動しています。
――バス運転士VTuber?
週に1回程度、交通系ゲームを中心に配信をしています。北海道を舞台にしたシリーズが多いですが、鉄道関連のゲーム(運転・経営両方)や、GeoGuessrなど地理や旅行に関する作品も扱ってますね。
――本当に乗り物がお好きなんですね
そうですね。バス運転士になる前も運送に関わっており、なんだかんだずっとハンドルを握る仕事に就いてます(笑)