ゲーム時間の9割は時刻表とにらめっこ
――このRTAで大変なことって何ですか?
チャート(攻略手順)を考えることですね。手がかりは時刻表だけなのですが、どの駅に、何時の電車で向かうのか、それこそ無限の可能性があるので大変です。どのルートが最速なのか、いまだに解明されていませんからね。
「ここで乗り換えたら早いんじゃないか……」「ここ、普通列車が特急に追い越されているから待ちそう」など、RTAに費やす時間の9割は時刻表とにらめっこしています。
例えば、旭川を13時14分に出発する急行列車がありまして、一方で11時51分に出る普通列車を見ると遠軽駅で1時間も停車している。その間に急行が追い越していくので、旭川でグズグズしていても途中の遠軽駅で先に出発した列車に追いつけるな……みたいな。
――パズルみたいですね。
乗り継ぎが上手い具合に見つかると気持ちがいいですよ。1978年に刊行された宮脇俊三の『時刻表2万キロ』という本に乗り鉄のことが書かれているのですが、「時刻表を読むのが大好き」「効率がいいと気持ちがいい」「実際に試したくなる」というようなことが書いてあって、いつの時代も乗り鉄の考えは一緒なんだな、と感慨深くなったことがあります。
――タイムを縮めるために工夫されていることはありますか?
タイム短縮に直接つながったというわけではないのですが、当時の時刻表を手に入れるために千葉県の図書館に行ったことがあります。
乗り継ぎは閃きの勝負なので、なにがタイム短縮になるか分かりません。もしかしたら……という期待を込めて、まずは当時の全国版時刻表が収蔵されている千葉の図書館に行ったこともあります。
ただ、時刻表っていろいろ種類があって、書かれている駅の情報も微妙に違う場合があるんです。北海道には仮乗降場といって、駅に満たないただ乗り降りするだけの場所があるのですが、そのデータは全国版にはなく、道内時刻表にしかないんです。
――どうでした?
残念ながら、千葉の図書館で手に入れた資料は攻略本の時刻表とたいした違いがありませんでした。なので、道内時刻表や各種資料の収蔵されている北海道まで探しに行きました。
現地の図書館なら、ヒントになる資料が転がっているかな……と。まあ、結果は似たようなものでしたけどね。