イジられるのは本当はイヤ
――山本さんといえば、イジリに対して全力ツッコミで応戦というのがひとつの様式美かと思います。周囲のイジりはどうとらえてますか?
まぁ、イヤですね(笑)。
――イヤなんですか?
イヤだから本気でツッコミができるんですよ。みんな本当に人の嫌がることを言いますからね。むしろ嫌がることしか言わない。
――このコンプラ全盛の時代に逆行してますね。
そういう意味ではこの時代はちょっとありがたくて。
昭和、平成ならみんながパワハラを受けてたから、イジられて自分だけ輝くのは難しいけど、今は芸人ですらイジっていいか躊躇する時代じゃないですか。
その中でみんなが「山本ならイジっていい」と暗黙の了解になってるから、イジリを一手に担えるというか……。時代を逆行する芸風がキャラ付けにはなってるのかもしれません。
――でもイヤなんですよね?
はい、イヤです。心では泣いてます(笑)。
でも、どうやら周りに言わせると、僕がいくらイジられてもかわいそうに見えないらしいんです。これは自分で言うのもなんですが、才能だと思うんです。
――イジられても世間をザワつかせない才能。
お見送り芸人しんいちだってキツめのドッキリをくらっても、かわいそうに見えないでしょ?
――まぁ、たしかに……(笑)。
それはあいつのプライベート(の性格)がクソで(笑)、因果応報に見えるからだと思うんです。
でも僕なんてプライベートで特に何もしてないのにかわいそうに見えないらしい。これはもう才能でしょう。解せませんけど(苦笑)。
最近では芸人どころか20代の女子アナにもイジられますからね。
――それは才能ですね。
でも、笑いにはしたいと意識はしてます。強く返したほうが盛り上がるし、相手もイヤな感じに映らない。シュンとなったら、現場も視聴者も引いちゃいますから。あくまで芸人の世界での話ですが。
――特別なトレーニングを受けている山本さんだから成立すると。
この前、千鳥の大悟さんから「お前イジられるとシメシメみたいな顔しとるな」と指摘されました。ちょっとバレ始めてます。
――他のイジられ芸人にライバル意識はあるんですか?
シソンヌ長谷川や、きしたかの高野(正成)らへんは、ドッキリとかいつも同じような仕事してるなって思いますよ。ぱーてぃーちゃんのすがちゃん(最高No.1)も最近一緒になることが多いですね。あのへんと横並びになるとゲンナリしますよ……。
――でも今回はドッキリじゃありませんからね! #2では“大衆迎合”と揶揄され葛藤したタイムマシーン3号、不遇の時代について聞きます。
#2へつづく
取材・文/武松佑季
撮影/是永日和