ガソリン税低所得層にとっての負担は各国共通の課題である

 ガソリン税が家計に与える影響は国ごとに異なるが、低所得層にとっての負担は共通の課題である。イギリスの事例(※1)を参考に、日本でも税負担軽減策を検討する必要がある。エネルギー政策の一環として、単なる課税ではなく、社会的影響への配慮が求められる段階に入っている。

低所得層の世帯にとって、車の維持費は生活費全体に占める割合が大きく、負担となっている。イギリスでは、最貧層の世帯における車の所有率は約46%であり、収入の3.1%を燃料税に費やしている。

これは富裕層の1.9%と比較しても明らかに高い割合である。燃料税は直接的な燃料費だけでなく、物流コストの上昇を通じて商品価格全体を引き上げる効果を持つ。結果として、食料品など日常的な必需品の価格が上昇し、間接的な影響が家計を圧迫する。

暫定税率が廃止されれば、単純計算で1リットルあたり148.1円となり、ガソリン価格は大幅に下がることに
暫定税率が廃止されれば、単純計算で1リットルあたり148.1円となり、ガソリン価格は大幅に下がることに

税負担の軽減が貧困問題の解決に資するはず 

適切な交通手段を利用できなければ、貧困層は社会的排除に直面するリスクがある。徒歩圏内にない食料品の買い物、金融、レジャー、医療、教育施設にアクセスできないからである。

日本においても、ガソリン価格に占める税金の割合は約42.6%と高く、自動車の世帯保有率は77.6%に達している。特に地方では公共交通機関が限られており、自家用車への依存度が極めて高い。

低所得層においても43%が自動車を保有しており、車の所有は生活の必需である。ガソリン税の負担は、そうした層の生活費に直接影響を及ぼしている。近年、日本ではエネルギー価格の高騰が続いており、それに伴う税負担が家計に重くのしかかっている。

こうした状況を受けて、政府は燃料税やエネルギー関連税の一時的な減免を検討すべき段階にある。イギリスの研究(「積極的な逆進性」2013年)では、これらの税を半減させることが生活費の軽減に大きく寄与し、貧困層を支援する効果的な方法の一つとされている。日本でも同様に、税負担の軽減が貧困問題の解決に資するはずである。