退陣要求が相次ぎ、四面楚歌の石破総理だが……
「執行部をまったくいじらないで乗り切るのは不可能だ」
ある自民党の重要閣僚経験者は、両院議員懇談会を前に石破総理にそう助言したという。
「わかっとる、わかっとる……」
石破総理は、あのねっとりとしたボヤき口調で返事をしたという。実際、7月28日の両院議員懇談会では、森山裕幹事長(81)が参院選の敗因分析をとりまとめた後、引責辞任する可能性を示唆した。
しかし、これで退陣論が収束する気配はまったくない。
「党内では茂木敏充前幹事長がすでに『(衆院選、都議選、参院選で惨敗した石破政権は)スリーアウトチェンジの状態だ』と退陣を求めている。石破総理を蛇蝎のごとく嫌う麻生太郎最高顧問も続投を容認しない意向を周囲に示しています。
懇親会でも発言者の大半から退陣論が噴出し、昨年の総裁選に出馬した小林鷹之元経済安保相も『責任の取り方についてしっかり考えてほしい』と要求した。
石破総理の責任論を念頭に、若手・中堅グループが署名集めをしていたこともあり、執行部は近く人事などの議決権のある両院議員総会を開催する予定です」(政治部記者)
自民党青年局や各都道府県連からも退陣要求が相次ぎ、まさに四面楚歌の石破総理。ところが、いまだに“強気”の姿勢を崩していない。
トランプ政権との関税交渉に一定のメドがついたものの、「(関税合意の実行など)果たすべき責任を果たしたい」と言い張る。そんな石破総理の姿勢について、自民党の西田昌司参院議員(66)は、筆者の取材にこう話した。
「石破総理としては、参院選の敗因をたどれば、安倍派をはじめとする自民党派閥の裏金事件に行き着くとお考えなのでしょう。そのうえで、自民党不信の元凶である旧安倍派などから退陣を要求される筋合いはないと……。
石破さんの中では、すべて合理的な判断をしているが、それが周囲に評価されないという、じくじたる思いもあると思われます」
石破総理の心中をそうおもんぱかってみせたが、こう続けた。
「石破さんは(第一次安倍政権や麻生政権において)時の総理に対して、選挙での結果責任を取ることを常に求められてきたかたです。自分だけ例外というのは通用しない。
民(たみ)信なくば立たずですから、ここは謙虚に結果を受け入れて、ご自身の身の処し方を判断されるべきです。続投はあり得ません」(西田氏)