人生の中でアクシデントは数々あった
──戦争によって未来ある少女たちの人生が激変してしまう物語ですが、人は誰しも、外的要因で大きな転換を促される瞬間があると思います。
私も不可抗力によるアクシデントは数々ありました。でも結局、上手くいったことよりも上手くいかなかったこと、思い通りにならなかったことのほうが自分の栄養になっていると思います。
上手くいったときの幸福感は瞬間的なもの。幸せって残らないものだと思うんです。でも誰かに傷つけられたら人を傷つけたいと思わなくなるし、自分が辛い思いをしたら、それを人に与えたいと思わなくなる。人生にとってはめちゃくちゃ役に立っているんですよね。
──では、さまざまなアクシデントを経験してよかったと思われますか?
アクシデントがない人生のほうが全然いいと思います(笑)。でも、起こっちゃったことは仕方がない。そんなときはとことん落ち込むのが得策だと思います。
──とはいえ、家族がいたり、仕事があったりすると、無理をしてしまう大人も多いと思います。
平気なふりをしながら心の中で泣く方もいますが、その葛藤が一番疲れるんです。「調子悪いの?」と言われたら、「大丈夫」と無理を言わないほうがいい。気晴らしに何かをするとか、中途半端が一番ダメ。辛いときは「辛い」と言ったほうが、自分の心は健全です。
地の底まで落ちたら、あとはもう勝手に上がってくるんですよ。私自身も、ふと自分が笑えるようになったことに気づいたとき、自分が地の底から這い上がったことを感じました。すごい生命力を持っているんですよね、人って。