分断に拍車をかけているのが、昨今の初任給の引き上げ 

実はその分断に拍車をかけているのが、昨今の初任給の引き上げだ。初任給の引き上げによってミドル世代の昇給が抑制されることへの反発や不満が発生している。

もちろん初任給引き上げ率と同様に社員全員を底上げすれば問題はないが、当然、人件費が増大し、経営を圧迫しかねない。

会社としては給与が逆転しないためには入社2年目以降の社員は初任給のアップ率と同率の賃上げを実施していき、年齢が高くなるにつれて賃上げ率を徐々に引き下げて調整することになる。

ただし、30代社員の給与の引き上げ率は若手に比べて低く、数千円程度の上げ幅にしかならない。

「だったら先に言ってくださいよ!」Z世代の育成に頭を抱える上司たちの悲鳴…ミドル層との分断が深刻化「4つの特徴」厳しい指導は苦手、作業の意味を気にする… _3
すべての画像を見る

Z世代が恩恵を受け、ミドル世代が割を食う 

当然、中堅社員の不満は高まる。今年、初任給を22万円から25万円に引き上げた建設関連会社の人事部長はこう語る。

「初任給を高くすると逆転現象が発生するので少なくとも30歳ぐらいまでは賃金の補正をしないといけない。その結果、あまり差がつかない中堅の社員から『自分たちががんばってきたこの7~8年は何だったんだ』という反発も発生している」

会社としては人材獲得のために初任給を引き上げざるを得ないが、結果的にZ世代が恩恵を受け、ミドル世代が割を食うことになる。その矛先は会社ではなくZ世代に向かう。世代の分断が広がれば、社員のモチベーションに悪影響を与え、生産性にも影響することになるのは間違いない。

文/溝上憲文