普通のはずが、やたらと気持ち悪い…
主人公・原田幸太郎(阿部サダヲ)は、テレビ出演もする人気の弁護士。50年独身を貫いてきたが、ある日病院のエレベーターで美術教師・鈴木ネルラ(松たか子)と運命的な出会いを果たし、まさかの電撃結婚。その後、ネルラの家族――弟のレオ、叔父の考(こう)、父の寛――と同じマンションで新婚生活を始めることになる。
一見すると「大人のちょっと奇妙な半同居ドラマ」といった佇まいだが、この作品のテーマはそこではない。ネルラには“15年前に婚約者が死亡した”という過去があり、それを追う刑事・黒川(杉野遥亮)も登場。これは、夫婦の愛を問うマリッジ・サスペンスなのだ。
だが、1話を見て印象に残ったのは、事件そのものよりもネルラの家族の不気味さだった。登場時から異質な存在感を放っていたネルラ。松たか子の演じるキャラクターはいつもどこか不思議ちゃん風だが、本作は違った。父、弟、叔父といった家族までもが、言葉にしづらい“不気味さ”を放っている。
設定だけを見ると「少し変わってるけど、まあそういう家族もいるかも」と思わせる程度。たとえば、弟のレオ(板垣李光人)は東大を休学しつつ、アイドルの衣装を手掛ける服飾デザイナー。父の寛(段田安則)はかつて大企業を経営し、今は再起を狙う元社長。叔父・考(岡部たかし)は政財界の要人にゴルフを教える万能人物。ちょっと変わったエリート一家くらいに感じるだろう。
だが、画面に映った途端、その“ちょっと変わった”程度のはずの設定が一変する。演出や俳優たちの細かな所作、間、声のトーン、視線が、すべてに謎の違和感がある。セリフの一つ一つはおかしくはないけど、どこか引っかかる……。まさに、言葉では言い表せない「ゾワッとする気持ち悪さ」が、画面からにじみ出ている。
もしかしたら自分だけがこの気味悪さを感じているのではとSNSをチェックすると、「なんだこの……違和感……普通のシーンのはずなのに、なんか気持ち悪い……」「不穏な空気がずっと漂っていてなんだか怖い「シチューに人肉入っていても納得しそうな違和感」といった声が多くて安心した。