神谷氏が歌詞を原案した歌がホストの心にブッ刺さる
ホストクラブ業界でこうした考えが出てくる背景を業界に詳しいライター、C氏が解説する。
「なぜ参政党がホストに刺さったのかと言えば、今歌舞伎町で起きているひったくりなどの多くがベトナム、トルコ、中国などの外国人犯罪者ということがあります。外国人取り締まりを強く宣言する参政党になびいたのでしょう。
またホストはこれまで選挙に無関心で、選挙がいつどこで行われているかもわからないような人が大半でした。しかし昨今のホスト規制などで『政治にやりたい放題やらせてていいのか。お前らそろそろ動けや』という意味で投票を促す運営者は多くいます。特に参政党と国民民主党、日本保守党が注目されています」(C氏)
こうなれば客も推しのホストと同じように動くことになる。立ちんぼをしながらホストに入れあげる23歳のDさんは語る。
「毎日『イチ、ニ、参政党』」とか言ってるホストのショート動画が流れてきて、なんだかよくわかんないです。でもあるホストが『参政党に投票しよ! 減税されます。税金を外国人優遇のためではなく、日本人のためだけに使ってくれると思います』って言ってたから、へー税金が安くなるなら参政党に入れてもいいのかな、って思いました」
こうした現象を間近で見ながらもクールに語る人もいる。ホストクラブに通う50代のEさんが言う。
「参政党は明らかに社会の不満分子を取り込もうとしていますね。ホストらは社会の問題を内部ではなく外国人のせいと思いがちです。夜の男は根底に自己肯定感の低さを抱えているので、『日本人であるお前がすごい。日本人だから優遇する』という言葉が彼らに刺さるんでしょうね」
さらにEさんが続ける。
「“現状に不満→自民が政策を間違った→優遇される外人のせいだ→オレたちは日本人なのになぜ苦労しないといけない”となったところに日本人ファーストが刺さって参政党支持になるといったところでしょう。
あと参政党はYouTubeで神谷氏が歌詞を原案した『ヒーローは現れない』とかいう歌を流してますが、これがもう“勉強して就職しても報われなくて、ホストになった”みたいな人にすごく刺さる歌詞なんです。こういう伝わりやすい言葉で演説したり動画を作ったりというのも作戦としてはうまかったですね」(Eさん)
問題のポストを謝罪したさや氏は13日の選挙ラストサンデーに演説で、
「日本人ファースト、この言葉を伝えに参りました。自民党に差別されてきた。日本人が差別され続けてきた気がしています。外国人が優遇されていく中で、私たち日本人はどんどん貧しくなっていった」
と外国人優遇論を全開にし、支持者から喝さいを浴びた。
演説会場には、「人間にファーストもセカンドもない」などと書いたプラカードを持ち抗議する女性たちもいた。女性の1人が演説後、思いを話した。
「私はルーツがミックスで、父が外国人なんです。だから、自分が排除されているように感じています。どうしてここまで日本人ファーストが支持されるのかと考えると……みんなしんどいのかな、と思います。外国人はスケープゴートにされているんでしょうね」(女性)
終盤に入った参院選。次の日曜日、民意はどのような形で現れるのか――。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班