才能だらけの芸能界で「普通である」ことが売りになった
──写真集を出したことで、その後の芸人活動には何か影響がありましたか。
アンゴラ村長(以下同) にゃんこスターとしては『キングオブコント』の決勝にもう一度行くことを目標にしているので、最初は「笑いづらくなったりしないかな」という心配もちょっとありましたが、1年経ってみて、それは関係なかったですね。
いつもライブに来てくれるようなファンの方たちの中にも、写真集を買ってくださった方はもちろんいますけど、それとは別で、普段は私のことを別に追いかけているわけではないけど、写真集は買ってくださった方というのがたくさんいて。どちらにしても、お笑いにはまったく影響がないことがわかりました。
熱心なファンの方は私がどんなことをしても、活動のすべてを応援してくれるし、写真集だけの人はお笑いに興味があるわけではなく、アイドルとか女優さんの写真集が好きだったり、単純に話題のものとして買ってくれたりした方たちで。でも、そういう方にも刺さったのはとてもうれしいです。
──写真集でアンゴラ村長のことを知って、ライブへ行くようになった、みたいなパターンはないんですかね?
少なくとも私の観測範囲では、それがまったくないんですよ。写真集が売れたことで、新しい方たちに顔と名前を知ってもらえたことは確かなのに、ライブの動員数がまったく変わらないんです(笑)。写真集が売れても、ライブのチケットは売れないことを実感する1年でした。
──一方、写真集を出したことによる、ご自身への影響というは?
私は23歳で芸能界に入ったんですけど、入ってみて初めて、というか改めて、この世界にはとんでもない才能や実力のある方々がこんなにもいるんだってことを目の当たりにして、自分には一体何ができるんだろうって、ずっと考えていたんです。特別な能力もなく、強烈なキャラクターがあるわけでもない。
それがここへ来て「普通である」ことが売りになったんです。写真集のタイトルでありコンセプトでもある体型のことに限らず、雰囲気とかも含めて、「親近感がいい」という声もたくさんいただいて。才能だらけの芸能界の中では、普通であることが逆に珍しくなって、まさかこんなに評価されるとは……。
でもそれは、何も持っていないということではなく、それが私の個性なんだって思えるようになりました。無理に特別なことを求めなくても、好きに生きていく中で好きなところを見つければいい。それに気づけたことは大きな発見だったし、自信にもつながりました。