「観客がカメラを持っていると会場から追い出し、フィルムを引き裂いた」
「ロックバンド史上、全世界に最も影響を与えたバンドは?」
これまで観たこともなかった「執念」ともいえる想いで収集されたアーカイブ素材を発掘し、創り上げられた本作の主人公・レッド・ツェッペリンこそが、その答えの一つではなかろうか。
宣言する。映画『レッド・ツェッペリン:ビカミング』は、ロック史上、唯一無二にして不世出のグループ、レッド・ツェッペリンの起源を描いた奇跡のドキュメンタリー作品である。
わずか12年間の活動の中で、彼らが巻き起こしたエモーションはまさに奇跡であった。イギリス出身の4人(ジミー・ペイジ/Gu、ジョン・ポール・ジョーンズ/Ba、ジョン・ボーナム/Dr、ロバート・プラント/Vo)のロックミュージシャンはいかに育ち、出会い、バンドを結成し、瞬く間に世界最強のグループとなりえたのか?
これまでリリースされたアルバムは世界中で3億枚以上のセールスを記録し、永遠に魅力を失わない不朽の名盤として燦然と輝き、未だ眩しい光を放ち続けている。
当初、「この映画は作れないと思う。私たちはテレビ出演を一切していなかったし、(巨漢のマネージャー)ピーター・グラントは観客がカメラを持っていると会場から追い出し、フィルムを引き裂いてカメラを壊していた。だから当時のコンサートの映像は残っていないんだ」とロバートが語っていた。
ピーターは、革新的でしばしば攻撃的なマネージメント・スタイルで知られていた。
今回、初物の映像が観られるのは、オフィシャルに撮影された映像だけではなく、いわゆる隠し撮りされたフィルムの発掘も映像素材に一役買っていて、これほどの伝説的なバンドのアーカイブ映像となれば、違法な素材でさえ貴重な歴史的資料と言えるだろう。
映画は、ジミーが新たなメンバーを集めてレッド・ツェッペリンと命名する新バンドを結成し、当時まだ前身となるバンド「ニュー・ヤードバーズ」と名のっていた1968年に、初めてのライヴを行ってからの軌跡とロックの歴史が作られたプロセスを振り返る。