「空飛ぶ屋台!?の巻」(ジャンプ・コミックス85巻収録)

今回は、両さんが気球を使って空中ラーメン屋台を開業するお話をお届けする。

福岡などでは一大観光資源となっている屋台文化だが、東京では屋台、とりわけラーメン屋台を目にする機会はほとんどない。話によれば、東京最後のラーメン屋台が昨年廃業したという。

屋台で飲食を営むには、食品衛生法に基づく営業許可と道路使用許可が必要になる。屋台の中には、違法状態で長年営業を続けてきたものがあるのも事実だ。

江戸時代から大都市で営まれてきた屋台食、戦後の闇市からはじまった屋台文化と、近代以降の屋台の隆盛は、今や過去のものになりつつある。

この数十年、ラーメンは庶民の手軽な食べ物から、作務衣を着てポエムを語る店主と店のこだわりを売りにした、差別化ありきのいささか特殊な食べ物へと変化している。そんな中で、「屋台風」の店構えで昭和感を演出したラーメン店も登場している。

ちなみに本作が描かれたのは、1993年。「家系」ラーメンが大流行する直前といった時代だ。本作で両さんが食べていたラーメンは、ナルトや小さな四角い海苔が入ったちぢれ麺……といったものなので、おそらくは鶏ガラ+醤油味の東京ラーメンだろう。驚くような方法で昔ながらのラーメンを販売するギャップが、実に味わい深い。

それでは次のページから、空中で供される屋台ラーメンのお話を、じっくりと味わってください!!