加害者家族を追い詰める偏見と排除
ここまで述べてきたように、加害者家族の生活は事件発覚後に一変し、心理的・社会的・経済的な問題に一気に直面することになります。
あらゆる犯罪のなかでも、とくに性犯罪は白眼視されます。性に関する話題がタブー視されがちな日本ではなおさら、性犯罪では加害者と被害者のみならず、加害者家族も偏見にさらされます。性犯罪の加害者は、「教師と生徒」「上司と部下」など権力や信頼関係を利用して犯行に及ぶことが少なくありません。そのため、社会的な非難がいっそう強まります。
幼い子どもが被害に遭う小児性犯罪事件では、社会からの応報感情がより大きく、被害者と同じ年代の子どもを持つ近隣の親たちの不安感情が高まるため、性犯罪の加害者家族に対しても、より厳しい「世間の目」が向けられる傾向があります。
*1 斉藤章佳『男が痴漢になる理由』イースト・プレス、2017年
文/斉藤章佳 写真/shutterstock