学級崩壊の背景…現役教員や専門家の見解は?
読者からは、支援級の実情への共感の声があがった一方で、教育関係者からは「必ずしも教員だけが“学級崩壊させる”わけではない」という反論や嘆きも多数寄せられた。
23年間教壇に立った元教員で、『「親力」で決まる!子供を伸ばすために親にできること』(宝島社)などの著書がある教育評論家の親野智可等氏はいう。
「学級崩壊の要因は複数ありますが、大きく分けてふたつ。教員に問題がある場合と、家庭や子どもに問題がある場合です。子ども側に問題があるケースでは、授業を妨げる児童が1人なら対応できる先生もいますが、2人以上となると優秀な先生でも学級崩壊につながる可能性が高くなります。
そうした児童は、家庭の問題を抱えている場合もあるんです。たとえば、私が受け持った学校にいた児童は、日常的に親から抑圧されており、箸の上げ下ろしひとつをとっても苦言を呈されるような環境で過ごしていました。
自宅での緊張感の反動で学校に来るとやりたい放題……。授業の妨害行為をご両親に伝えると、“うちではそんなことしません。先生に問題があるのでは?”との見解でした」
学級崩壊の原因をさかのぼれば、親子関係が大きく影響している実例も少なくないのだという。
「しつけを優先し否定的に叱ることが多いと、子どもの自己肯定感が低下します。また、親に対する苛立ちが高まり、それを発散する行為が“学校でのやりたい放題”につながります」
このように話した上で、親が子どもの自己肯定感を育むために意識すべきことについて、次のように語ってくれた。
「大事なのは、子どもが少しでもやりやすいように大人が合理的な工夫をすること。たとえば、片づけが苦手であれば、ワンタッチ収納にしたり、ラベリングをして定位置を決めたりする。工夫を施してもできないときには、手伝ってあげる。それでもできなければ親が片づけ、場合によっては受け入れてあげることも必要でしょう。
健全な自己肯定感さえ育まれていれば、成長過程や必要性を自覚したときに“自分ならできる“と改められることもあります」(前出・親野氏)
何より危険なのは、子どもが自己否定感にとらわれることだという。それを避けるために、親は一人で抱え込まないことが大切だ。
「子どもの発達特性について親が一人で悩むのではなく、早めに専門家に相談したり、必要に応じて療育を受けたりすることで子どもが過ごしやすくなることもあります」(前出・親野氏)