「母親が訂正願いを出したとは考えにくいですね」

「修正はすでに亡くなっている母がやったからわからない」と主張する荒木氏だが、荒木氏の出身地の地元紙によると母親は23年11月29日の午後、膵臓がんのため亡くなったことが報じられている。2回目の修正が受領された27日のわずか二日後だ。

荒木氏の主張について、政治家の裏金問題に詳しい神戸学院大の上脇博之教授は、「十分な説明になっていない。説明責任から逃げている」と批判する。

「単純なミスだったということを説得力のある形で証明できるのであれば、罪に問うことは難しいです。ただ、一連のやりとりで、説得力がある説明とは言えない。

772万円は一般感覚では非常に高額で、ひとり分の年収でもある。こんな金額の不記載がなぜ起きてしまったのか。そしてなぜ、2回にわたって修正したのか。本人は忙しい姿勢を見せてますが、30分でも1時間でも時間をとって、客観的資料を示してきちんと説明すべきです」

上脇教授(写真/本人提供)
上脇教授(写真/本人提供)
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また、母が修正をしたという答弁についても疑義を投げかけた。

「がんで亡くなるということは、闘病中だったのでは。常識で考えれば、2日前に修正などできないのではないでしょうか。急に容態が急変したならわかりますが、普通は、母親が訂正願いを出したとは考えにくいです。

また、母はパソコンと会計が得意と話していましたね。荒木都議の収入は国会議員と比べて収入の数が少なく、なぜ漏れが生じたのでしょうか。もっと金額が多い政治家はわんさかといます。会計帳簿の付け方に問題があるのでは」

荒木都議が出した政治資金収支報告書には、税理士などの監査人が収支報告書をチェックした証明である“政治資金監査報告書”がセットで提出されている。

荒木都議の政治資金収支報告書で監査を担当した税理士は、集英社オンラインの取材に対してしばらく沈黙したあと、「まあ、このことは本人に聞いてください。政治の手前はいろいろと守秘義務があるので私からは答えられない」と述べた。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班