「田中さんは女性の面談は率先して行きたがっていました」
歌舞伎町にある日本駆け込み寺は土地柄、立ちんぼの女の子が暇つぶしに顔を出したり、雨風をしのぐために来る若者も多く、中には酔っ払って訪れるので、トラブルになることもあるという。そんな中、田中容疑者は唯一の男性職員として活躍していたそうだ。
「今は基本は夕方5時までになりましたが、以前は夜中の2時までやっていました。酔っぱらいなど面倒な人とかも事務所に来ることもあって、そんな時は田中容疑者が対応していました。清掃活動をはじめ野外のボランティア活動に田中容疑者は参加しませんでしたが、セキュリティ面を考えて事務所に常駐していたのだと思います」
普段の田中容疑者の印象についてAさんはこう語った。
「どちらかと言うと物静かで何を考えているのかわからない感じです。常に黒いTシャツと黒いスリムジーンズみたいに上下黒い服を着てポーカーフェイスでした。地方出身で若い頃に東京に上京して、直近では出版関係で働いていました。ブラックミュージックが好きで昔はクラブなども行っていたりもしていたようですが、結婚もしていませんし、友人の話もしませんし、孤独な人だったのかもしれません」
仕事ぶりは真面目だったが事務所で時折見せる田中容疑者の行動に対し、Aさんは今思えば違和感を覚えたという。
「たまに田中さんは事務所で座ってボーっとしていることがあるのですがそれが話しかけずらいくらい気が抜けたような様子というか……。死んだような目をしてるというか……。うまく言い表せないのですがそんな様子を見せていました。
相談者と(日本駆け込み寺の)相談員って基本はLINEなど連絡先の交換はしません。トラブルになる可能性もありますし、相談者もひっきりなしに連絡する人もいるので相談員の体がもたないといこともあると思います。
ですが、田中さんはLINEの交換もしていました。その辺は相談員の裁量で決めていたと思います。それに田中さんは女性の面談は率先して行きたがっていました。そういったところを目の当たりにして田中さんは女性と知り合いたくて相談員をやっているのかなって思ったこともあったのですが……」