性病蔓延により、コンドームが誕生

当時は色街で遊ぶことが普通のことであり、コンドームも普及していなかったことから、梅毒にかかる人も多かった。まだ特効薬もなかったため、一般の家庭にもかなり入り込んでいた。

梅毒などの性病は、花柳病といわれ、戦前の家庭の大きな悩みでもあった。

昭和9(1934)年、岡本ゴム工業(現オカモト)により、ゴム製のコンドームが開発される。コンドーム自体は、太古から存在するが、現在のようなゴム製のものがつくられたのは、戦前なのである。ラテックスのゴムが輸入されるようになり、そこからコンドームがつくられたのだ。

当初コンドームは避妊用ではなく、性病防止としてつくられたのである。それが避妊具として普及することになったのだ。

性病蔓延により誕生したゴム状のコンドーム
性病蔓延により誕生したゴム状のコンドーム
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文/武田知弘 写真/shutterstock

『戦前の日本人 100年前の意外に豊かな国民生活、給料、娯楽、恋愛』(宝島社)
武田知弘
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