ここにきてV系が盛り上がっている理由とは
「90年代に熱狂していたファン世代が、今では家庭を築き、経済的にも余裕のある年齢層に差しかかっています。自由に使えるお金が増えたことで、再びライブに足を運ぶ人が増えている印象です。
中には子どもを連れてくる親子ファンもいて、LUNA SEAには『SLAVE学園』という若年層のファングループも存在します。彼らにファンになったきっかけを聞くと、多くが“親の影響”と答えていました。また中にはYouTubeきっかけなどもいて、昔の音楽に手軽に触れることができるようになったのも大きいでしょうね」
さらに、文化的な空気の変化も追い風になっているという。
「2000年代からしばらくは、“ありのままの自分でいい”という価値観が強く、ミュージシャンもTシャツ一枚で自然体を打ち出すスタイルが主流でした。でも今は、表舞台に立つ人のみならず、個人個人が『自分をどう演出するか』『どんな個性を打ち出すか』という風潮です。
メイクやファッションで“自分を作る”ことを肯定する風潮が広がる中で、まさにV系文化はその価値観と非常に相性がいい。Z世代がV系にシンパシーを感じているのも、その背景があると思います」
また、メディア露出の増加も追い風となっている。
「かまいたちやニューヨーク、千鳥といった今のテレビの中心にいる芸人たちがV系世代で、トーク番組やYouTubeなどで当時の音楽に言及する機会が増えています。バラエティ番組で当時のミュージシャンと芸人が共演することで、若い世代への認知も広がっているかと思います」
今再びヴィジュアル系が熱を帯びるのは、ただの懐古的なブームではなく、時代が再び「表現すること」に注目している証なのかもしれない。
取材・文・撮影/ライター神山