サイゼのアレンジメニューは公式の公認?
スマートフォンに不慣れな人にも配慮し、これまでどおり店員に口頭で注文できるスタイルも残した。これにより、利便性を高めながらも幅広い客層の安心感を損なわない仕組みを実現している。
また、実際にサイゼリヤの店員に話を聞くと、口頭を残すべきほかの理由も見えてきた。
「モバイルオーダーでは、“オイルや塩を抜いてほしい”“ドレッシングを少なくてほしい”という細かなカスタマイズへの対応はまだされていません。そういったお客様からの要望は口頭で聞き取るしかないかたちとなっております。
ホールで働いていますと、お子さん連れのお客様など、意外とこういったオーダーを受け取ることは多いです。ですので働く側としましては、こういったところも対応していただけると、より動きやすいかなと思ったりもしていますね」(都内・サイゼリヤ店員)
そして、サイゼリヤが“変わった”のは注文方式だけではない。2025年春には、新たなメニューも登場し、こちらも話題を呼んでいる。
新しく加わったのは、「チーズフォッカチオ」「タラコとポップコーンシュリンプのドリア」「ポップコーンシュリンプとタラコのクリームグラタン」など。注目すべきは、これらがすべて既存メニューの素材を活用したアレンジメニューであることだ。
確かに「チーズフォッカチオ」は、人気のフォッカチオにチーズを載せただけというシンプルな構成。
「タラコとポップコーンシュリンプのドリア」は、にパスタ用などで使用しているたらこクリームに単品商品の「ポップコーンシュリンプ」、そして基本のドリアを組み合わせた一品で、調理効率や在庫管理の面でも非常に合理的に見える。
広報部が「サイゼリヤでは複数のメニューを注文しコーディネートを楽しんでいただきたい」というように、サイゼリヤでは実は、日々客たちがメニューを掛け合わせて独自のメニュー開発をしている。
SNS上では独自のアレンジメニューを投稿して、その出来栄えを競うような投稿もよく散見されている。今回の新メニューはまさに、そういったものが正式に商品化されたということなのだろうか。
変わらない安心感と、変わっていく柔軟さ。そのバランスこそが、サイゼリヤの強みなのかもしれない。
取材・文・撮影/集英社オンライン編集部