ビールも1杯900円に
前出のAさんも再びこう嘆く。
「私の場合は、当日、その日の仕事の状況を見て行けそうだったらチケットを買って球場に行っていた。これだと今は、もっとも高い状態で購入しなくてはならない。
しかもビールも1杯900円はするでしょう?もう会社帰りに仕事の気晴らしでは球場に行けないですよ。試合内容よりも、高い料金を払っているという現実に、逆にストレスがたまってしまいそうで……(苦笑)」
今シーズンから多くの球場で生ビールが1杯900円へと価格改定され、フード類も軒並み値上げをしている。
そもそもチケットの初期販売価格でさえ、毎年値上がりは止まらない。今年の神宮球場の最安値チケットが2400円と先述したが、2019年のもっとも安いカテゴリーの外野自由席価格は1400円だった。この6年で1000円も高騰しているのだ。
ある父親は「小学生の子供が大谷くんの活躍を見て野球に興味を持ったので初めて球場観戦することになったんです。でも、家族3人で交通費や飲食代を含めてトータル5万円近くになってしまった。できれば内野の見やすい席で見せてあげたいですが、こんなに高いと1年に1回行くのがやっとですね(苦笑)」と観戦のハードルの高さを指摘する。
2024年のセ・パ公式戦の観客動員数は前年度比6%増の2668万1715人と史上最多となった。しかし、今シーズンのここまでの12球団の平均観客動員数は3万673人と、去年のシーズン終了時点の平均観客動員3万1098人をわずかばかり下回っている。
まだ書き入れ時のゴールデンウィーク前とはいえ、止まらぬ観戦料金の高騰に辟易しているファンが多いのは事実。これ以上、プロ野球観戦が富裕層の道楽とならないことを祈るばかりだ。
取材・文/集英社オンライン編集部