勝ち負けよりも「馬と親友になることを選んだ」

――2019年に大きな怪我をされて、そこから復帰された後は、騎手としてモデルチェンジをされたというお話がありました。その中で、「勝ち負けよりも馬と親友になることを選んだ」という言葉が、すごく印象的でした。

はい。怪我をしてからどうもうまく乗れない感覚があったんです。馬とのコンタクトを取る中で、それまでとは全然感覚が違ってしまって。そのときに馬のことをすごく考えたというか、感じなきゃなっていうのをそれまで以上に思ってたんですよね。

そうするうちに、「あれ、こうしたら馬がすごい気持ちよさそうに走ってくれたな」とか、「のびのび走ってくれたな」みたいな経験を積み重ねることができて。それで、とにかく馬を気持ちよく、のびのびと走らせたら結果につながるんじゃないかっていう感覚になったんです。

1980年7月8日生まれ、栃木県出身。1998年に地方競馬(大井)でデビューし、トップジョッキーとして活躍。2013年に日本中央競馬会へ移籍後はリーディングジョッキーを獲得するなど、中央競馬でも第一線を走り続ける
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。1998年に地方競馬(大井)でデビューし、トップジョッキーとして活躍。2013年に日本中央競馬会へ移籍後はリーディングジョッキーを獲得するなど、中央競馬でも第一線を走り続ける
すべての画像を見る

――それまでは違ったのですか。

今まではリーディングを取る、勝ちたい、勝たなきゃいけない…と、もう勝ちばかり意識していました。でも、それを変えたことで自分もすごく気持ちよく乗れるし、結果にもつながっていって。「あれ、これいいことばかりじゃん」っていう感じで、そっちにシフトしたところはありましたね。

――それはやはり、ご経験を重ねられたことも大きいですか。

経験もありますが、それでもあの怪我がなかったら、そこは感じられなかったかもしれないです。より繊細に感じたいな、アプローチしたいなと思ったから、そういうふうになったんじゃないかなと思います。

――以前は勝てないと不安になったり焦ったりすることもあったのですか。

そうですね、ありました。そういう気持ちが怪我につながることもあると思うんです。今はなんか(不安が)あっても、我に返ってすぐ持ち直す作業ができているかなと思います。