ピンチなのは立憲…枝野氏は「分党」発言を「言ってやった」とご満悦だが
一方、消費税をめぐって党内の路線対立が顕在化しているのが立憲民主党だ。
立憲内では、江田憲司元代表代行が会長を務める党内勉強会が食料品の消費税を時限的にゼロとするよう主張。末松義規衆院議員らの党内勉強会も、消費税を時限的に5%へ引き下げることを求めている。
江田氏の勉強会には党所属国会議員の4割近くがメンバーとして参加。末松氏の勉強会にも江田氏の勉強会と重複している議員もいるとはいえ40人ほどが参加しており、党内で「減税派」は無視できない規模となっている。
ただ、こうした減税派の台頭に釘を刺したのが立憲の創始者である枝野幸男最高顧問だ。
減税派を念頭に「減税ポピュリズムに走りたいなら別の党をつくってください」と牽制。それに対し江田氏が「言論の自由を封殺しようというのは看過できない」と反発するなど、党内に大きな亀裂が走った。
減税に慎重な野田佳彦代表も「今の(減税を求める)党内議論をポピュリズムとは思わない」と減税派に一定の配慮を見せるなど、対応に苦慮している。
「民主党は消費税引き上げをめぐる対立から分裂した過去があり、消費税議論は立憲にとって鬼門。枝野氏は『分党』発言後、『言ってやった』とご満悦の様子だったそうですが、あまりに党内からの反発が強く、今は『一部メディアが印象で記事を書いている』と火消しに躍起になっています」(立憲民主党関係者)
それでも、党内での枝野氏への不満は消えそうにない。江田氏らの求心力は決して高くなく、減税派が新党を結成することは現実的には容易ではないため、党内には火種が残ったままになりそうだ。
一律給付がなくなり、焦点は有権者の関心も高い消費税議論に移りつつある。減税派、慎重派双方からの突き上げに、石破首相や、立憲の野田代表の苦悩は続きそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班