社会派ドラマが求められる背景

そんな中で『キャスター』は、ド真ん中の社会問題に切り込んだのが爆発的なヒットにつながったのかもしれない。

永野芽郁、報道番組で総合演出をすることになった局員を演じる(日曜劇場『キャスター』より(C)TBS)
永野芽郁、報道番組で総合演出をすることになった局員を演じる(日曜劇場『キャスター』より(C)TBS)
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「社会派ドラマといえば2022年10月期の長澤まさみ主演ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』(カンテレ)が高い評価を受けて、その年のドラマ賞を総なめしました。しかし一方で、視聴率は6%台と低迷。業界評価と世間的な評価の差が如実に現れた一作となりました。

ではなぜ『御上先生』と『キャスター』は高視聴率なのか。日曜劇場で放送されているというアドバンテージはもちろんありますが、この2年で急速に、社会問題に関心を持つ人が増えたからだとも考えられそうです。

特に“陰謀論”も含めて、既存のメディアやSNS、社会のあり方に疑問を持つ人が増えたからこそ、そういった問題を可視化して、ドラマというエンターテインメントに落とし込んでいる作品が人気なのかもしれません」

キャスターの初回の評判を見ると、SNSでは以下のような声があがっている。

〈「エルピス」以降こういう社会派のドラマが増えた事を心から嬉しく思う〉

〈御上先生は現代社会を風刺した社会派ドラマだったけどキャスターも同じ系統でお楽しみ。切り抜きや偏向報道や暴露みたいな現代社会の報道の問題を鋭く風刺してくれそう〉

〈いいね、旬の事件や問題ばかりの社会風刺。継続視聴〉

〈映画を1本見てるぐらいの満足感だった…! 報道の裏側とか普段見れないところだけどそれが興味をそそるし面白かったー!〉

ドラマに限らず、映画でも社会派作品は好調。2024年は物流業界の問題を描いた『ラストマイル』が興行収入59.6億円を記録し、実写映画としては『キングダム 大将軍の帰還』に次ぐ年間2位となった。

『キャスター』がこの先どれだけ数字を伸ばしていき、報道番組のあり方をどのように描いていくのか。今後の展開に注目だ。

取材・文/集英社オンライン編集部