昨年9月に『ミュゼプラチナム』を離職していたことに

「やはり給与の面が一番怒りを覚えます。店舗スタッフは若い女性が多く、給与が払われないことで本当に生活に困り、食べるものすら満足に買えていません。生活必需品の生理用品すら、買うのがもったいないと思ってしまうほどです。

経営陣はこうなることがもちろんわかっていたと思います。それを考えるとますます怒りがわいてきます」(同・従業員)

ミュゼプラチナム有楽町店、現在店舗はブラインドで閉め切られている(撮影、集英社オンライン編集部)
ミュゼプラチナム有楽町店、現在店舗はブラインドで閉め切られている(撮影、集英社オンライン編集部)

しかも、退職をしてなお、会社の都合で困っている人もいるという。

「これは本当に従業員のみんなが先日知ったことなのですが、マイナポータルで雇用保険の欄を見てみたところ、去年の9月1日に『株式会社ミュゼプラチナム』を離職して、9月2日から運営会社の『MPH株式会社』に所属していることになっているのです。

そうなると MPHの離職票だけではなくて、ミュゼプラチナムのときの期間証明書もないと、正しく失業保険が受け取れません。スタッフの中には4月11日が失業保険の認定日だったのに、失業保険を受け取れなかったという人もいたそうです」(同・従業員)

会社が変わったことを伝えるメール(画像、従業員提供)
会社が変わったことを伝えるメール(画像、従業員提供)

ハローワークの窓口の中には融通を利かせて、給与が支払われていない期間や、3割しか支払われていない期間を考慮したうえで、失業保険を受給できる措置をとってくれたところもあるという。だがその代わり、本来よりももらえる額は減ってしまったようだ。

ほとんど泣き寝入りするしかない状態になっている従業員たち。いったいどうすればよかったのだろうか。人事コンサルタントで危機管理にも詳しい増沢隆太氏に見解を聞いた。

「残念ながら自己防衛するしかないというのが現状です。経営危機は“突然”ではなく、必ず予兆があります。今回でいえば、給与遅配は確実に経営がおかしいことを示すものと考えられる事象でした。

本来であれば企業は社員の雇用を守る義務があり、まっとうな経営ができていれば、仮に経営危機が来ても社員を守ることを優先します。しかし中には、そうではない企業もあるのです」(増沢氏、以下同)