もう俳優の顔がわからない
――人工透析ってどういう治療をするんですか?
機械で血液の老廃物を取り除きます。週3回、ベッドに寝て管を通すのですが、1回4時間もかかります。
人工透析を始めると腎の機能低下で、おしっこが出なくななり、体に水が貯まって、1日で2~3㎏は太っちゃうんですよ。なので、ドライウェイトといって体から水を取り出します。ただし水を取り出し過ぎると体がつったり、クタクタになって辛いんですよ。
僕は比較的復活するのが早いので、今では透析後に営業に行くことがありますけど、以前は、30分のショーができないくらい疲労感がありました。
――1回4時間というとけっこう長いですよね。何をして過ごしているんですか?
副音声を利用して、映画やテレビを楽しんでいます。ドラマは1クール20本は見ているかな(笑)。
ただ、弱視になってから出てきた俳優さんの顔はまったく分からない。だから橋本環奈は分かるけど、浜辺美波は分からない(笑)。あとベテランになった俳優さんたちの今の顔は知らないから、若い頃のままなんです(笑)。
――声を聞いて顔や姿を想像するという感じですね。
だから、より耳が研ぎ澄まされたと思います。最近NHKの朝ドラで原田泰造が出ていると思っていたら、竹野内豊だったんです(笑)。顔は全然違うんですが、声が似ているんですよ。だから、声が似ている人をつなげて、新たなものまねもできるんじゃないかと思うようになりました。
――顔は全然違うけど、声はそっくり(笑)。でも、竹野内豊さんということはどうやって分かったんですか?
ネットで出演者情報を調べました。スクショして文字を大きくして、タブレットを目から10㎝くらいの位置までもってくると、何とか読めるんです。手間はかかりますが、ドラマって誰が何を演じているか分かっていないとおもしろくないので、あらかじめ全部調べていますね。
すべての人に感謝!
――闘病生活は大変苦労されていると思うのですが、とてもポジティブですね。
体調が最悪な時期もあったので、今は動ける喜びがあります。目が悪いのに、仕事をオファーしてくれる方がいることにも感謝です。
以前は客席を見て、今日は高齢者ばかりだなとか、子どもがいてやりにくいなと思ったこともあったんですが、今は足を運んでくれたすべてのお客さんに感謝しかないですね。どうやったら楽しんでもらえるかばかり考えています。
――今後、どのような活動をしていきたいですか?
ライブを大事にしているので客前でステージに立ち続けたいです。それから同じ糖尿病の患者さんや、その家族、また多くの方に講演会などを通じて体験を伝えたいですね。糖尿病って面倒くさいんですが、しっかり向き合えば楽しい日常生活を送ることができますから。
取材・文/集英社オンライン編集部
<プロフィール>
コージー冨田
1967年2月24日生まれ。愛知県出身。素人時代からものまね番組に出演し、プロ顔負けの活躍を見せる。緻密な再現性でものまね番組での優勝も多数。タモリ、笑福亭鶴瓶、石橋貴明、島田紳助などレパートリーは100名以上。