女性に“逃げる隙”を与える必要性 

──どうして男性たちはそれを同意だと思ってしまうのでしょうか?

昭和・平成で流行っていた男性観やモテテクニックから価値観がアップデートされていないからだと思います。

女性の「嫌」は好きのうちとか、押しの強い男がモテるとか、部屋に来たらセックスOKのサインとか、そういったことを今でも信じ込んでいると、不同意性交等罪で捕まる世の中になったということです。

──男性はどんな風に「同意」を取るべきなのでしょうか?

法的リスクを限りなくゼロにするなら、毎回、同意書を作成して女性にサインを貰うのが最も望ましいですが、現実的ではないですね。それに、サインを拒めない状況を作っていたら不同意になりえます。

なので、段階的に女性の意思や自主性を確認できる行動をとっていくことが大切です。

例えば、ホテルや自宅へ移動する際に、途中でコンビニに立ち寄って避妊具を一緒に買ったり、1人でトイレに入って女性に"逃げる隙"を与えたりすることで、女性の意思や自主性を確認することができます。

コンビニの監視カメラに映るのが有効な事例も
コンビニの監視カメラに映るのが有効な事例も

──捕まっている人は、そういうことをしていないと……。

強引にタクシーに乗せてホテルに直行したり、「ホテルで飲み直さない?」と部屋飲みに誘ってから行為に及んだりして、逮捕される人が大半です。

ひと昔前の男性情報誌では、いかにスムーズに女性をホテルや部屋に招き入れるかのテクニックが指南されていましたが、そういう考えは法的リスクから考えると最悪です。

これは不同意性交・わいせつ罪の要件の一つである「予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること」という規定と関係があります。

男性の中ではスマートな誘いだと思っていることも、上記の要件に沿って「予想外で驚愕した」と主張されれば、同意があったとは認められません。