「中途半端な留学はやめなさい」落合陽一の母が考える“ダメな留学”3つのパターン
「海外留学」には、夢や可能性が詰まっている。しかし、ただ漠然と海外に行くだけでは、その価値を十分に引き出すことはできない。メディアアーティスト・落合陽一氏を育てた母・落合ひろみ氏が元外資系航空会社勤務の経験と周囲の事例から導き出した「本当に意味のある留学」とは。
『「好き」を一生の「強み」に変える育て方』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
【考え直したい留学③】大学受験に失敗したことが理由の留学
世間では、大学受験に失敗したからといって、海外の大学に留学させてしまおうとする親御さんもいますが、それは勧めません。
受験に落ちるという場合、①勉強が好きではない、もしくは、②緊張体質で試験で本領が発揮できない、というケースがあります。
①の場合、勉強が嫌いな中で、日本よりも厳しい海外の大学でやっていくのは大変ですし、②の場合は、受験失敗でショックを受けているはずです。心理的に不安定な中ですぐに新しい環境に慣れるというのは、本人の負担も大きい場合があります。
また、日本で受験に失敗した留学生を、簡単に受け入れてくれる海外の大学が、教育に対するしっかりした理念と体制が整っている学校といえるかというと、疑問が残ります。
海外の大学であっても、ピンからキリまであります。慌てて大学に入学しても、それが本人にとってよい選択になるかはわかりません。
私の周りにも何人かそういう例がありますが、親に追いやられるように海外留学した方は、その後の人生にとってあまりいい結果を及ぼしていないようにも思います。
大学受験の失敗は嫌なものですが、それを理由に「海外へ」というのは、短絡的すぎるのではないでしょうか。失敗は失敗として受け止め、乗り越えることも人生にとっては大事なことではないかと思うのです。そもそも失敗かどうかは、後になってみないとわかりません。
留学の何に意味を持たせるかは難しい問題です。
中途半端な海外の大学に行って、遊びや薬を覚えて人生を棒に振った子どもたちを何人も知っています。海外の大学で学ぶことがその子にとってどんな意味があるのかを十分に考えて、決めるべきだと思います。
本人が行きたいと言った場合であっても、なぜ行きたいのかその理由をしっかり聞いて、親が納得したならば行かせるべきだと思います。
文/落合ひろみ
「好き」を一生の「強み」に変える育て方
落合ひろみ、落合陽一
2025/3/13
1,650円(税込)
288ページ
ISBN: 978-4763141644
落合ひろみ×落合陽一親子が実践・検証した「これからの子育て」
◎個性や「好きなこと」を伸ばしてあげたい。でも、勉強も早くから準備しないといけない!?
子どもの好きなことを伸ばしたい、関心を深めたいと思う一方で、受験の早期化の流れもあり、悩まれる方も多いのではないでしょうか。
著者である落合ひろみさんも、仕事の傍らの子育ての期間には、勉強に加え、どうしたらその子ならではの才能を伸ばしてあげられるのかと、様々な工夫をしていました。
本書では、エピソードと科学的なエビデンスも含めて、「才能を伸ばす」子育ての仕方をまとめました。勉強や受験、英語教育の話にも触れており、学歴か才能か、国内か海外か、公立か私立か、ほめるか叱るか……など親御さんの悩みに向き合った1冊です。
◎勉強のやる気も、AI時代で活躍するにも「楽しがる力」が大事
テクノロジーの最先端におり、大学では教育者としても活躍する落合陽一さんのこれからの教育論も必見。新しい時代をつくるためにも、勉強のやる気を出すためにも、自分から楽しがる力が大事です。
そこで落合ひろみさんが実践していたのは、
「『勉強しなさい』と言わない」
「子どもがやりたいことは積極的にやらせる」
「それがとんでもないことでも怒らない(でも、「片づけてね」と言う)」
*ただし、危険なこと、迷惑をかけることはさせない
「集中しているときは、見守る」
ということ。
自分から学び、楽しみながら自分の道を開いていける大人になるために、
必見の内容です。
◎本書の概要(一部)
これからの時代に必要な子育ては?/勉強させるのに必要な声がけは?/勉強時間をどう確保するか?/子どもを勉強好きにするには?/算数の好きな子にするには?/嫌いな教科にどう向き合うか?/効果のある本の読み方は?/子どもを伸ばす習い事は?/子どもの好奇心を伸ばすには?/子どもの好奇心を伸ばす3つのルール/苦手なことに挑戦するときの声がけは?/どんな子も伸ばす魔法の声がけは?/英語教育、いつから始める?/考え直したいグローバル教育/外資系で仕事をしていたからこそわかる「海外で通用する人材」とは/受験を通してわかったこと
【目次より】
序章 これからの子育てに必要なこと
第1章 「勉強しなさい」は言わない ― 学歴か好奇心か
第2章 子どもの好奇心を広げる ― 「やめなさい」か「一緒にやろう」か
第3章 自主性と考える力を育てる ― 「うまくいかないね」か「できるよ!」か
第4章 英語・グローバル教育とどう向き合うか ― 留学か国内か
第5章 忙しい親のための心得 ― どんなに忙しくても目配りしたいこと
第6章 受験をどうする? ― 偏差値か適性か