子育て支援政策が裏目に出た部分も? 

駅周辺を散策すると、車が行き交う大通り沿いにはビニールハウスが軒を連ねる光景が広がっていた。整備された駅前広場の発展ぶりと比べると、そのギャップに思わず驚かされる。 

駅から数分歩くと、周囲にはビニールハウスが多く見られた(撮影/集英社オンライン)
駅から数分歩くと、周囲にはビニールハウスが多く見られた(撮影/集英社オンライン)

通りに立つバス停の時刻表を確認すると、本数は非常に限られており、公共交通の便がまだ十分とは言えない様子もうかがえる。

また、遠くには森のような景観も確認できた。駅前はショッピングモールを中心に急速に発展しているものの、その周囲には緑が広がり、まさに駅名どおりの環境が今も残されているようだ。

一方で散策を続けるうちに、ひと際目を引くおしゃれな建造物を発見。まるで東京の一等地に建っていても違和感のない洗練された外観だが、驚くべきことに、これは流山市立の小学校であるという。

洗練された外観が特徴的な小学校(撮影/集英社オンライン)
洗練された外観が特徴的な小学校(撮影/集英社オンライン)

この学校については、周辺住民に話を聞く間も頻繁に話題に上がっていた。というのも、流山市は手厚い子育て支援を打ち出しており、それが市の魅力となる一方で、新たな課題も生じているという。

「市が子育て支援にすごく力を入れていて、それを魅力に感じて移住する人もいるくらいです。たとえば、駅前には『保育の送迎ステーション』という施設があって、ここに子どもを預けると各保育園まで送迎してくれるんです。

家から保育園が遠い人にとってはありがたいし、出勤前や退勤後に駅でピックアップできるので、すごく便利ですよ」(30代女性・主婦)

地元民から評判のいい、保育送迎サービスが入るビル(撮影/集英社オンライン)
地元民から評判のいい、保育送迎サービスが入るビル(撮影/集英社オンライン)

「ファミリー層が住みやすいと評判になり、移住者が増えた結果、今度は子どもの数が増えすぎて小学校の受け入れが追いつかない問題が出てきています。

知り合いの家では、学区の変更によって自宅から遠い学校に通うことになったそうです。新設校と昔からある学校の間で、どちらに通えるかによって“勝ち組・負け組”のような格差も生まれていると聞きました」(40代男性・会社員)

「うちの子はもう小学校を卒業しているので、くわしくはわかりませんが、学区の区割り変更が頻繁に行われているようですね。

去年も新しい学校が開校したばかりですし、市が移住を積極的に促進した結果、想定以上に人口が増えたのではないでしょうか」(50代女性・パート)

街には築浅の大型マンションも並ぶ(撮影/集英社オンライン)
街には築浅の大型マンションも並ぶ(撮影/集英社オンライン)
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周辺には畑や森が広がり、子育て支援にも力を入れるなど、多様な特徴を持つ流山おおたかの森。この急成長を続ける街の地価は、来年もさらに上昇を続けるのか、それとも新たな変化が訪れるのか。今後の動向が注目される。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班