日本株優位の中で懸念される世界的なグレート・リセット
有事の際は、国内で円がたくさん必要になることから、海外の株式や債券などが売却され(円が買い戻され)、必然的に円高になります。一方で株価はまず間違いなく下落するので、日本における有事の局面では原則として円高・株安になります。
しかし、平常時に為替が円高に振れたからといって、全体相場で株安になることには裏づけとなる理由がありません。しかし、マーケットでは「円高→株安」というのが、突っ込んだ検証もされないまま共通見解とされています。
この矛盾は近い将来、修正される日が来るでしょう。多くの人が円を買うから為替は円高になる。買われた円が日本株や日本の不動産に回っていくことで、株高や不動産市場の上昇につながる。これが矛盾のない構造です。この修正が実現すれば、円高かつ株高となり、世界のマーケットの中で日本株が一人勝ちすることになるかもしれません。
ただ、日本株が独歩高でバブルが起こったとしても、いずれ世界的なグレート・リセットが起こり、1990年のバブル崩壊や2008年のリーマン・ショックのような歴史的な金融危機をはるかに超えたレベルで大暴落する可能性もあります。
グレート・リセットで金融システムがリセットされても、すでに内憂が広がっていた西側諸国などと比較すると、日本が受ける影響は小さくて済むと予想されます。しかし、株などのペーパーアセットに対する価値観は大きく変わるでしょう。
一方で、不動産のような実物資産は、自然災害などの特殊要因を除き、一夜にして価値が激減するリスクが低いもの。その意味で、日本の不動産は中長期的に有望と言えるのです。
長嶋修●ながしまおさむ/さくら事務所会長、らくだ不動産顧問、日本ホームインスペクターズ協会理事長、さくら事務所会長。らくだ不動産顧問。日本ホームインスペクターズ協会理事長。国交省・経産省等委員歴任。多数のメディア出演 ・講演・出版・執筆活動で政策提言や社会問題全般。
文/長嶋修 写真/shutterstock













