「このままだと真実が闇に消されてしまう」
全裸の謝罪動画を撮影したのち、小西被告は内田被告の指示でAさんと一緒に神居大橋に移動。少しして、内田被告も追うように神居大橋に来たという。
そこで、被告らは2度にわたって、Aさんを橋の欄干部分に座るように要求。
川の方を向く形で橋の欄干に座っていたAさん。被告らが後ろから押したところ、Aさんは左右に広がる欄干をつかむ形で立ったという。
弁護側から、「橋に置いてきただけ」と言う内田被告と食い違う供述をしている点について質問されたと小西被告は、意識をしてだろうか、涙ながらにハッキリとした口調でこう述べた。
「(Aさんの背中を)梨瑚さんが押していました」
被告は、内田被告が欄干に座るAさんの背中を押して、転落させたと供述。ただ、被告がこの供述をするまでには葛藤があったという。
「(内田被告からの逆恨みが)今も少し怖いですが、最後に押したのが梨瑚さんでした。梨瑚さんからは『黙秘しろ』と言われていたのに、本当のことを話したら何をされるかわかりません」
さらに、被告は涙で言葉をつまらせながらも、ゆっくりとこう答えた。
「(内田被告の供述の説明を受けて)セリフや行動がすべて嘘で、このままだと真実が闇に消されてしまうと思い、本当のことを話しました」
「それが、被害者の子にできる最低限のことだと思ってます」
これが、この裁判ではじめて被告が自らの責任について口にした瞬間だった。
さらに、弁護側は最後の質問で「被害者に被告人の言葉で伝えたいことはありますか」と尋ねた。
「人の命を奪っていて、私は生きているのはいいのかと思っていますが、今後の受刑生活でも毎日どう向き合っていくか考えていきたいと思います。一生をかけて償っていきたいです。本当にすみませんでした。ごめんなさい。本当にすみませんでした。ごめんなさい。本当にすみませんでした。ごめんなさい。ごめんなさい。すみません…」
涙を浮かべ言葉を搾りだすように、「ごめんなさい」「すみません」を連呼した。そして、小西被告は証言台に突っ伏すように泣き崩れた。被告のすすり泣く声だけが響く法廷。
その姿に、裁判員をはじめ法廷にいる誰しもが息をのんだ。
これに対して、被害者参加人として裁判を傍聴していた遺族は、我が子を襲ったとされる被告の涙の謝罪をどう受け止めているのか。
どうすることもできない怒り、悲しみからなのだろうか、この瞬間も無表情に被告の後ろ姿を見つめつづけていた。