「苦しいとか辛いっていう感情はすごい贅沢なもの」
――『ベイビーわるきゅーれ』でも突然殺し屋モードになるのが印象的です。あの切り替えがすごいですよね。
自分にもそういう二面性があるんです。自由に大はしゃぎしているときもあれば、物事を俯瞰で見ているときもある。だから、演じやすいのかもしれないです。
あと、普段あまり怒らないんです。怒りの感情が少なめなので、逆に演技だとスッと入っていけるのかもしれないです。
先日、激しく泣くシーンがあって、まわりの人から「重いね辛いね」って言われたんですけど、あたしは全然辛くないんです(笑)。演じてる役と自分はそれくらい違うので。
――気持ちの切り替えはもともと得意なんですか?
めちゃめちゃ得意です。けっこうポジティブなので、嫌なことがあっても、その嫌なことにも絶対意味があると思うし、忘れ物をしても、そのおかげで何かいいことあるかもしれないって思います。
苦しいとか辛いっていう感情はすごい贅沢なもので、喜怒哀楽の全部が大切だと思ってるんです。お芝居しているから、よりそういうふうに感じるんでしょうけど。
――じゃあ、悲しいことがあってもすぐに立ち直るんですね。
逆により自分を追い詰めたりもします。悲しいときに、より悲しくなるように自分を持っていったりして。大きい悲しみって、なかなか生まれないじゃないですか? 年に1回あるかないかなので、貴重ですよね。だから、とことん突き詰めて観察します。
わざと辛くなる曲を聞いてみたり、写真を見返したりして、この悲しみはどうなってしまうんだろう? って思いながら。
“朝ドラヒロイン”にときめいた
――ところで、朝ドラは子供の頃からの夢で、小学校の先生とも朝ドラのヒロインになることを約束していたそうですが。
保育園児のときから俳優になりたいって言っていたんです。それを知った小学校の担任の先生が「朝ドラヒロインになったあなたをみたい」って言ってくれて。そのとき、「朝ドラ♡ヒロイン」って自分でときめいて(笑)。それからずっとその言葉が私の中に残っているんです。
実際に撮影が始まっても、朝ドラヒロインっていうキラキラした夢はずっと持っていたいなと思っています。夢が消えちゃうと、苦しくなったときに後悔しそうだから。朝ドラヒロインの夢は持ちながら、俳優として挑むところは挑む、その二つが両立した状態で撮影に臨みたいと思っています。
取材・文/高田秀之 撮影/杉山慶伍