「余裕、大丈夫だ。捜索願もなにも出ていない」

傍聴人を唖然とさせたのは、犯行の悪質さだけではなかった。

検察側、弁護側の冒頭陳述が終わったのち、検察側が提出した証拠書類の内容が読み上げられた。

そのなかには、事件後の小西被告と内田被告のLINEのやり取りを記した証拠があった。一部報道によると、内田被告はAさんを「橋に置いてきただけ」と殺害を否認している。そうだとしても、LINEのやり取りはじつに平然としたものだった。

証拠5「統合捜査報告書」から以下抜粋する(注:検察側が口頭で述べたものを以下再現)。

Aさんが内田被告の映像を無断で投稿する前の、2024年4月18日。被告の舎弟ぶりがうかがえるやり取りがあった。

内田被告「タバコ買ってきて。梨瑚の財布に1000円あるから」

(その後、神居古潭以前の事件に関するメッセージについては、被告らは削除している)

4月19日、殺害して帰宅したとされる日のやり取りには、事件に関することがいくつかあった。

内田被告「余裕、大丈夫だ。捜索願もなにも出ていない。そいつの●●高校(注:Aさんの通っていた高校名)に電話したけど、届け出とか、何もないらしい」

小西被告「了解です」

内田被告「それだけ報告しておくね。舎弟のアンタに」

これ以降、事件に関するやり取りはなくなり、日常会話になっていく。

小西被告「リコしゃん。なにしてるんですか?」

内田被告「おうちにいるよ(写真を添付)」

小西被告「ニヒヒ」

内田被告「(スタンプを送る)」

小西被告「うちら、今、遠距離ですね。梨瑚さん」

同日、こんなやり取りも。

小西被告「(動画を添付)これ、リコシャンシャカシャンの服だお」

内田被告「かわいい」

弁護側は「従属的な関係」と強調

弁護側は冒頭陳述で、起訴内容は認めるとしたものの、裁判員らに対して、判決の量刑を決めるにあたっては、「被告人は積極的に犯行に及んだわけではなく、従属的な関係であることはわかってほしい」と強調した。

弁護側によると、被告は「舎弟」の意味をよく理解しておらず、「なんで女なのに弟なんだろう」と感じていたという。

ただ、内田被告には恐怖心があり、怒鳴られないように命令には従うようにしていたとのこと。

さらに、4月19日午前2時30分ごろに合流するまでは、Aさんを連れ出して監禁している経緯などの具体的な内容は知らず、内田被告らと小西被告が合流した際に、内田被告が怒っていて不穏な空気を感じていたという。

Aさんが委縮しており、暴行を加えられていたことは知らず、Aさんに声をかけても返事がなく、「おとなしい子だなと思っていた」と小西被告が語っていた、と弁護側は説明した。

一部の報道によると、共犯とされる内田被告は起訴内容を否認する方針だという。

今回の裁判で、検察側は内田被告の証人尋問を請求。供述が食い違う今回の事件だが、注目の内田被告の証人尋問は3月3日に予定されている。

事件のあった神居古潭の東屋には花が手向けられていた(筆者撮影)
事件のあった神居古潭の東屋には花が手向けられていた(筆者撮影)
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取材・文/学生傍聴人