異業種は去年の1月ごろから、転売ヤーは今年に入ってから…

商機を逃さないブローカーたちが群がり、家庭の米びつがカラになる悲しい現実がある。「市場に任せる」という新自由主義が、国民を飢えさせる元凶になっていることは否めない。

「ある中国人は15俵とか買ってたから900キロだな。個人でも現金で払っていくよ。今まで話した値段に幅があるのは、多ければ俺も安くするし、中国人はとりあえず『値段をまけろ』って話になるから。彼らはコメを売ってるところにはどこでも行って集めてるって言ってたね。今どきは家庭用の大型冷蔵庫でも50俵や100俵入るからね。冷蔵庫に入れておけば2年くらいは平気だから。今までこんな転売目的とか異業種の人が買いに来ることなんてなかったよ。異業種は去年の1月ごろから買いに来るようになったし、転売ヤーは今年に入ってからが多いな。

でもな、ウチには以前から毎週、毎月買いにきてくれるお客さんが2000人くらいいて、そういう人たちに『コメないよ』なんて言えないから、転売屋にはちょっとしか売らないんだよ。俺がここでコメを売ってるのは毎週、毎月来てくれる人のためだからさ。いくら高く買い取ってくれるって言ってもやっぱり商売長い目で見なきゃ。だからもう転売ヤーには売らない。相場が下降線になったら転売ヤーなんてもう来ないんだから…」

大規模農家をも悩ませる、「令和のコメ騒動」は、政府の備蓄米放出で解決できるのか。後編に続く)

藤平正一さん
藤平正一さん
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班