かつて倒産したオーディオメーカーとよく似た構図に…

一方で赤字から回復できていないのがSANKO MARKETING FOODSだ。2024年6月期は期初に3000万円の営業黒字を計画していたが、着地は7億円近い営業赤字。2025年6月期第1四半期も赤字でスタートしている。

SANKO MARKETING FOODSは、焼き牛丼の「東京チカラめし」や低価格居酒屋「金の蔵」で一世を風靡した。しかし、今では2業態ともに店舗数は縮小しており、大衆酒場「アカマル屋」で業績回復を狙っている。

繁華街に賑わいは戻ったが、業態によって明暗は分かれている 写真/shutterstock
繁華街に賑わいは戻ったが、業態によって明暗は分かれている 写真/shutterstock

会社はコロナ禍を迎える前から苦戦気味だった。2018年6月期から7期連続の営業赤字。本業での現金の動きを見る営業キャッシュフローも7期連続のマイナスだ。

異なる業種だが、2022年5月に自己破産申請を行なったオーディオメーカーのオンキヨーホームエンターテイメントは、2019年3月期から3期連続で営業キャッシュフローがマイナスだった。赤字が続くことよりもキャッシュが企業活動の命運を握っており、7期連続マイナスというのは極めて珍しい。

SANKO MARKETING FOODSが2024年9月末時点で保有する現金は3億円。EVO FUNDというアメリカ系の機関投資家に新株予約権を発行して資金を調達し、急場を凌いでいるが、その構図もかつてのオンキヨーと酷似している。オンキヨーは期待していたEVO FUNDからの資金調達が途絶えたことが、倒産の直接的な引き金となった。

SANKO MARKETING FOODSが足元で力を入れている「アカマル屋」は、レバ刺し、もつ煮込みなどを提供する典型的な大衆酒場で、カウンターとテーブルが中心。店づくりは脱宴会そのものだ。ビルの1階に出店する路面店がほとんどで、ふらりと立ち寄る今の居酒屋需要に合致している。それにもかかわらず、赤字なのはなぜだろうか。