50代になってまた強まる、地元の絆

東京には大切な仲間や友達がいます。

聞いてもらいたい話があるときや愚痴りたいことがあるときは仕事終わりに集合。

ゴハンを食べながらあーだこーだと盛り上がることも。

大学進学を機に上京してから、人生の大半を東京という街で過ごしてきた私は、そんな仲間たちと過ごす時間がとても多かった。

でも、50代になった今、地元の友達との繋がりがまた強まっているのを感じているんですよ。

私の“地元の友達”といえば小中高とずっと一緒の仲間たち。

田舎の小さな町だから、常に一緒のクラスじゃなくても、みんなどこかで重なっていて。

その距離がグンと近づいたのはやっぱり高校時代なのかな。

とにかく面白いことが大好きで、くだらないことを言ってはガハガハと笑う、モテない私たちは『男子と話さない同盟』を結成。

放課後の教室やジャスコの屋上に集まっては、好きなドラマやお笑いの話題で盛り上がったりして。

そうそう、あの頃はバンドブーム全盛期でね。

ブルーハーツやレッド・ウォーリアーズのライブ行きたさに、休み時間のたびに校門を出てすぐの公衆電話にダッシュ。

永遠に繋がらない『チケットぴあ』に何度も何度も電話して、授業に遅れ、職員室の前に並んで正座をしたこともあったりして。

学生時代を回想する大久保
学生時代を回想する大久保
すべての画像を見る

そんな仲間たちも高校卒業後はそれぞれの道へ。

大学進学のために上京する人がいたり、地元に残る人もいたり、さらには、結婚して家庭を持つ人も現れ始めて。

子育てに忙しい人もいれば、仕事でキャリアを積み重ねる人も。

20代や30代はみんな自分の人生と向き合うだけで忙しかった。

だからこそ、仲間たちが集まるのは年に2回、お正月とお盆くらいで。

そこに集まる人数もその時々で減ったり増えたり。

その理由もまた「子供が熱を出した」から「親の介護をしなくちゃ」にどんどん変わっていったりしてね。
 
で、最近、帰省時によく集まるようになったのが、私、カオリちゃん、シッカの未婚3人組。

独身だからフットワーク軽く動けるっていうのもあるし、シャカリキだった時期を抜けて、仕事にも少し余裕が出てきたのかな。

地元で遊ぶだけでなく、「ちょっと旅行とか行きたいね」なんて話もでるようになって。数年前に、3人でタイ旅行にいったんですよ。

そもそも、ことの始まりは30代半ばに3人で行ったインド貧乏旅行。それが、今でも会うたびに話題にのぼるほどの強烈な旅でね。

「あれは青春だったよね」と、「もう一度、あんな旅をしてみたいよね」と、「じゃあ、行こうじゃないか」と盛り上がって。

シッカがエアーからホテルまで手配してくれたんですけど。これがまた、馬鹿正直に見事な貧乏旅行を計画してくれて。

まず、行きの飛行機はエコノミーの深夜便。

早朝にタイに着いた私たちが向かったのは一泊3500円の安ホテル。

食事は宿の前にある数百円の屋台飯。

シッカなんて、実家で握ったオニギリをアルミホイルに包んでタイにまで持ってきていて。南国でそれを貪(むさぼ)り食う彼女を見て、カオリちゃんと一緒にゲラゲラ笑ったりしてね。