史上最高値を更新するカカオ高騰。原因は…
それにしても、なぜカカオの価格はこれほどまでに急騰しているのだろうか。
その主な原因は、主要な原産国である西アフリカの気候にあるという。
「ここ数年、西アフリカ諸国では猛暑や干ばつ、さらには大雨による洪水といった異常気象が続いています。それだけでなく、カカオの木を枯らすウイルスが広がるなどの被害もあり、生産量が激減しているんです」(前出・カフェ店主)
こうした説明は、他のメディアでも多く取り上げられている。しかしチョコレート専門店によれば、気候要因だけでなく、地政学的リスクもカカオの価格上昇に影響を与えているという。
「当店では、ドミニカやベトナム、グアテマラなど、さまざまな産地のカカオを使用した製品を取り扱っています。でも、たとえばグアテマラでは、内戦が原因で工場が焼けてしまって……。供給が非常に困難で、グアテマラ産のカカオを使用した製品は、現在店頭に並んでいる分で終売となります」(都内チョコレート専門店Aの店員)
カカオの価格動向を具体的な数字で見てみると、ニューヨーク市場のカカオ先物相場では、過去10年ほど1トンあたり2000~3000ドル程度で推移していた。
しかし、2023年から徐々に価格が上昇し始め、2024年に入るとさらに値動きが激化。3月には1トンあたり6000ドルほどから10000ドルにまで急騰し、4月には12000ドル台をつけた。
その後、一時的に7000ドルを下回る水準まで“調整”が入ったものの、昨年11月ごろから再び上昇。12月には再び12000ドルに達した。そして、1月初旬現在でも1トンあたり11000ドル前後と、依然として高値が続いている状況だ。
こうした状況下で迎えるバレンタイン商戦は、確実に各店を苦しめている。
「当店を含め、今年のバレンタイン商戦では、チョコレートをあまり使わない商品を展開する店舗が増えています。
価格が高額になると、ボンボンショコラやタブレット(板チョコ)のような純粋なチョコレート製品はどうしてもお客様の手が伸びにくくなってしまうので、チョコフレーバーの焼き菓子などのほうが主流になっていますね」(都内チョコレート専門店Bの店員)