個人店も大手メーカーも大苦戦。次々と値上がりするチョコレート製品
「結論から言うと、これからもチョコレートの価格は上がっていくと思います。もはや、個人店はやっていけないでしょうね」
そう語るのは、東京の下町エリアにあるカフェの店主。同店では昨年10月、チョコレートの原料であるカカオの価格高騰に伴い、仕入れ業者からチョコレートの値上げを告げられたという。
その後、年明け1月にはさらに値上げがあり、現在の仕入れ価格は従来の約1.5倍にまで上昇しているとのことだ。
「うちでチョコレートを使っているのは、パフェやパン・オ・ショコラ、ホットチョコレートなどですね。仕入れコストが上がっているぶん、当然ながら利益率は下がっています」(同カフェ店主)
それにもかかわらず、現時点で商品の値上げは検討していないという。
その理由について、「うちはもともと価格設定を少し高めにしているため、原材料費が上がったとしても、まだ余裕があるんです」と明かしてくれた。
一方で、個人経営の洋菓子店の中には、商品の値上げを行なうべきかどうかの決断を迫られている店もあるようだ。
インタビューに答えてくれた都内の洋菓子店も、やはり仕入れ業者からチョコレートの値上げを告げられたという。
「去年、業者から何度かチョコレートの値上げがあり、現在では仕入れ価格が以前までのほぼ倍になっています。具体的な金額はお話しできませんが、かなりの負担になっていますね。
他店ではさらに値上がりしているケースもあるようで、このあたりは取引業者との関係性によって差があるみたいです。
当店では、昨年すでにチョコ系のケーキを値上げしました。なので、再び価格を上げるのは正直、気が引けます。
現在、物価が高騰している一方で、賃金の上昇が追いついていませんよね。消費者が節約を考える際、真っ先に削られるのが食費。特にケーキのような嗜好品は、最初に購入を控えられてしまいます。
対策するのであれば、価格は据え置いたまま、小さくして内容量を減らす、なども考えられます。
でも、うちはシュークリームやタルトを買っていくお客さんのほうが多いんですよ。だからコスト面だけを考えたら、チョコ系のケーキは販売自体をやめてしまったほうが、合理的かもしれません」(都内洋菓子店店主)
また、個人店だけでなく、大手メーカーも厳しい経営環境に直面している。
たとえば森永製菓は、昨年から複数回にわたって値上げを実施しており、今年2月以降も「チョコボール」や「小枝」といったチョコレート菓子の値上げを予定している。
明治は昨年からチョコレート製品の値上げや内容量削減を繰り返し、1月17日には、3月1日出荷分から「チョコレート効果」の一部ラインナップを最大約3割値上げ、5月20日からは「きのこの山」「たけのこの里」の内容量をそれぞれ約1割ずつ削減することも発表した。
さらにロッテも、昨年11月出荷分より「コアラのマーチ」や「パイの実」といった人気商品を最大約4割値上げしており、大手各社が次々と対応を迫られている状況だ。