2人の名手による捕手再転向というウルトラC

その秘策とささやかれるのが昨季、三塁手としてパリーグの「ベストナイン」と「ゴールデン・グラブ賞」を獲得した栗原陵矢の捕手再転向説だ。

「ソフトバンクの不動のレギュラーには内外野に捕手経験のある栗原と近藤健介がいます。この2人のどちらかが捕手再転向というウルトラCが実現したら、甲斐がいたとき以上にとんでもない打線ができるんですけどね。近藤はともかく、栗原に関しては捕手への未練もあるみたいですけど…」(前同)

当の栗原は昨季の開幕当初に小久保監督から「練習はしなくてもいい。心の準備だけはしておいて」と緊急事態に備えた第3捕手としてのスクランブル要請を受けていた。これに対して栗原もゴールデン・グラブ賞の表彰式の際、2021年までの登録ポジションだった捕手への思いを明かしている。

「やっぱりまだまだ捕手でゴールデン・グラブ賞をとりたい気持ちはある。プロ野球選手である以上、チャンスがまだまだあるのでいつかとりたい」

実際、捕手という特殊なポジションを考えると栗原の再転向は現実的ではないが、そんな話を期待したくなるほど、今季のソフトバンクの捕手陣には不安がつきまとう。

一方で、甲斐の補強により、捕手陣の競争が熾烈なのが巨人だ。

昨季は大城卓三が96試合、岸田倫行が88試合、小林誠司が42試合の出場。だが、42試合の出場にとどまった小林も同級生の菅野智之と「最優秀バッテリー賞」を受賞するなど、リーグ優勝に貢献している。

甲斐の加入、菅野のメジャー挑戦で崖っぷちに立つ小林誠司 写真/共同通信社
甲斐の加入、菅野のメジャー挑戦で崖っぷちに立つ小林誠司 写真/共同通信社

今季はその大城、岸田、小林という3つ巴の正捕手争いの中に球界ナンバーワン捕手の甲斐が加わることで、とんでもなくハイレベルな争いとなる。

「特に小林に関しては菅野が登板する試合での出場が多かったので、菅野がメジャー移籍するとなると、非常に難しい立場です。さらに甲斐は強肩で守備面に定評のある小林と同じタイプ。打撃のいい大城などと違って、出場機会は激減するでしょう」(セリーグ球団スコアラー)

そんな崖っぷちの小林が巨人でもう一花咲かせるためにカギを握る存在が、あの男だという。