アメリカ版2ちゃんねる=4chanから生まれた「Qアノン」

2ちゃんねるや「ふたば☆ちゃんねる」など日本のネット掲示板文化は2000年代にアメリカに伝播。そこで誕生したのが匿名掲示板「4chan」だと言われている。

4chanではリベラルなエリートや既存の権威に反発するコミュニティが形成され、陰謀論も飛び交うようになる。

多くの問題の温床となった4chan
多くの問題の温床となった4chan

匿名ハッカー集団「アノニマス」を生み、2014年には女性ゲーム開発者やジャーナリストが標的となった「ゲーマーゲート事件」も引き起こした。その後、陰謀論「Qアノン」が生まれたのも、この掲示板だと言われている。

「4chanはネオナチや反ユダヤ主義、ミソジニーと結びつき、社会的な分断を生む陰謀論の温床となりました。匿名だからこそ許される自由で無責任な言論環境が、デマや陰謀論を育みやすかったのは日本と同じです。ただ、リベラルな意識が進んだアメリカ社会でそれをやった結果、バックラッシュ(反動)が激しく、政治性を帯びやすかったという違いはありました」

問題は掲示板が荒れた後、アメリカでは現実の世界で“マジレス”する人間が多かったことだとモーリー氏は続ける。

「そもそも、アメリカでは愛国教育が日本よりも盛んで、自分たちが国をよくしたいと思っている人が多いんです。そして、彼らが銃を持っているという特殊な事情もある。トランプという稀代のアジテーター(大衆を扇動する人)が、そこに燃料を投下し続けたことで“マジレス勢”が結集し、2021年の議会乱入事件や2022年のバッファロー銃乱射事件を引き起こすことになります」

死者まで出た2021年の議会乱入事件 2021年1月6日 写真/shutterstock
死者まで出た2021年の議会乱入事件 2021年1月6日 写真/shutterstock

Qアノンのような“モンスター”を生み出すことにもなった日本の匿名掲示板文化は、その後、逆流する形で日本の言論空間に影響を与えるようになる。