コーラを飲むなら、一気飲み

下記のグラフは、脱灰と再石灰化が繰り返される様子を表した「ステファンカーブ」と呼ばれるものです。1日の食事が朝食、昼食、間食、夕食だけなら、脱灰と再石灰化はバランスよく行われ、むし歯になりません。

『歯を磨いても むし歯は防げない』より
『歯を磨いても むし歯は防げない』より

ところが朝食、昼食、間食、夕食の合間にも、ダラダラとものを食べたり飲んだりしていると、口の中がpH5・5以下の状態が長く続きます。結果として、むし歯になりやすいのです。

つまり、大事なのは食事の回数で、極端な話、食事の回数が1日4回(ダラダラ食べをしない場合)なら、1回につき、どれだけ甘いものを食べても問題はないことになります。

そこから以前、患者さんにこんなアドバイスをしたことがあります。

むし歯治療に来られた方で、コーラが大好きという話でした。仕事中も時間があれば、コーラをちょくちょく飲んでいるそうです。

炭酸が入っているので気づきにくいですが、コーラには大量の砂糖が入っています。500ミリリットルのコーラで56・5グラム、角砂糖にして約17個分になります。この方は大型のペットボトルに入ったコーラを買い、仕事の合間に少しずつ飲んでいたそうです。

これは1日4回の食事(朝食、昼食、間食、夕食)以外に、ちょこちょこ甘いものを食べているのと同じです。口の中は、つねにpH5・5以下となり、溶けだした歯を修復できません。

そこでコーラを飲むなら、一気に飲むようお伝えしました。大型のペットボトルからちょくちょく飲むのではなく、ミニサイズのペットボトルを買って、一度で飲みきる。それも食事のときに飲むようにすれば、糖を摂る回数は変わらないので、むし歯リスクはグンと減ります。

甘いケーキも同じです。食事と一緒に食べるなら、回数自体は増えないので、どれだけ食べても、むし歯リスクは小さくなります。

甘いケーキのイメージ 写真/Shutterstock
甘いケーキのイメージ 写真/Shutterstock
すべての画像を見る

逆に気をつけたいのは、スポーツドリンクや栄養ドリンク、乳酸菌飲料です。「体にいいから」と毎日飲む方も多いですが、かなりの糖分が含まれています。飲むなら、食事と一緒にしてください。これなら糖を摂る回数が増えず、むし歯リスクは減らせます。

飴も要注意です。口寂しいとき、つい口の中に入れがちですが、飴にも糖が含まれます。

量は少なくても、糖が口の中にある限り、口の中はpH5・5以下になり、脱灰が起こります。

のど飴を「のどにいいから」と一日中なめていたら、ある意味、一日中食事をしているのと同じです。注意していただきたいと思います。

文/前田一義

歯を磨いても むし歯は防げない
前田一義
歯を磨いても むし歯は防げない
2024/11/6
1,100円(税込)
176ページ
ISBN: 978-4413047081
なぜ、スウェーデン人は砂糖の消費量が日本人の2倍なのに、むし歯は半分なのか? 日本人の9割が知らない間違いだらけの口腔ケアとは?健康寿命の決め手になる歯科医療世界一のスウェーデン式「世界標準のオーラルケア」の新常識。
amazon