「その他ハイヤー」という新しい需要、雇用の変化に期待も

サービスの特徴は、配車のデジタル化だ。タクシーアプリのように簡単にハイヤーの予約ができる。予約の全プロセスがオンラインで完結可能で、必要に応じてチャットや通話でドライバーと直接コミュニケーションを取ることもできる。

「これまで運行状況の確認をする際は、ホテルがハイヤー会社に連絡し、ハイヤー会社がドライバーに電話をかけるという手順がありました。新しいサービスではスマホやパソコンから車両の現在位置をリアルタイムで確認できます。

また、法律上、ハイヤーは2時間以上の契約が必要ですが、今回は『その他ハイヤー』というカテゴリー区分で運行することで、短時間の利用も可能になりました。これにより、都内観光のスキマ時間にもタクシーと同じ感覚でハイヤーを利用できます」

ハイクラスな乗車体験も魅力だ。ドライバーは語学堪能で、東京シティガイド検定を取得しており、東京中の観光名所を熟知している。

車両は、レクサスLM、トヨタ アルファード、ヴェルファイアなどから、希望のクラスを指定できる。

レクサスLMを実際に試乗してみたところ、ラグジュアリーな乗車体験を味わうことができた。タッチパネル操作で正面モニターに映像を投影でき、冷蔵庫やスマートフォン充電器、Wi-Fiも完備されている。運転席と客席の間にはパーテーションがあり、音声を遮断できるためオンライン会議も可能。揺れが少なく、走行音も静かで、乗り心地は非常に快適だ。

座席の目の前には巨大なモニターが テレビ画面にもなるし、会議もできる
座席の目の前には巨大なモニターが テレビ画面にもなるし、会議もできる

現在、車両は13台が導入されており、2年後には都内で50台まで増車する目標を掲げている。またこのハイヤーサービスは、雇用形態の変化をもたらすことも期待されている。

「従来のタクシー運転手は歩合給で、都内の道を覚えることが収入に直結し、稼ぐハードルが高い側面がありました。一方、このハイヤーサービスは主に空港からホテルまでのルートを担当するため、固定給での雇用も可能なのです。さらに、英語力や観光案内など、従来のタクシーとは異なるスキルが求められるため、新たな人材の発掘にもつながるでしょう」

現在の主なターゲットは高級ホテルの外国人利用者だが、今後は国内の富裕層の移動手段として普及を目指しているという。

新たな雇用や、需要が広がることはもちろん大歓迎だが、我々日本人には現状関係のないサービスとなっていることが少し寂しい。日本のエグゼブティブたちにも奮起してもらいたいところだ。

取材・文/福永太郎