「恋愛や結婚にも興味がなくなり、嫌な記憶と生きていかないといけません」
北村被告はこれまでに2回結婚しており、証人でもある現在の妻は元生徒だ。その妻と交際が始まった理由について北村被告は、「妻が卒業後に近くに引っ越してきて、そこから食事に行ったり映画を見に行くなど、相手の家族も含めて仲良くなったので、その時期から付き合い始めたという認識でした」などと証言。
一方でAさんとは「道具を買って、ラブホテルに行ったとき」に交際をしていると認識したと答えた。
被告人質問の後に20分程度の休憩を挟み、Aさんが証言台で次のように被害の実態を読み上げた。
「昨年、初めて自分が被害を受けたときの映像を見て、乱暴でショックを受けました。できれば見たくなかったです。取り調べで思い出して詳細を説明するのも苦痛で、今も悪夢にうなされます。
それでも告発したのは、同じ思いをした人のためです。(当時は)卒業までの辛抱だと何度も思いました。私が嫌がったら友人に被害がいくかもしれず、私が耐え忍ぶのが最善だと思いました。他の子みたいに普通の学校生活がしたかったと、後で何度も泣きましたが、言葉で説明するのが恥で、ただただ被告のオモチャになるだけでした」
「中学生のときの被害の影響で性行為そのものにマイナスなイメージが付き、大学時代に彼氏ができても、被害の記憶が蘇るため性行為を断っていました。結局彼とは別れたのですが、彼には被害を打ち明けていたので、『ごめん』と性行為を誘ったことを謝っていました。被害のせいで恋愛や結婚にも興味がなくなり、嫌な記憶と生きていかないといけません」
さらにAさんはこう続けた。
「前回の調書で被告には全く反省している様子が見られず、のうのうと暮らしていくのが悔しくてたまりません。賠償金はとても見合わない額ですが、せめて生活の足しになればと受け取りました。しかし傷は癒えないし、厳罰を求める気持ちは変わりませんし、許すことはありません」