ネットの反応が恐ろしく、耐えられなくなった人が次々と離れていった
選挙戦は自民党県連の多数派や立憲民主党系の団体、連合などが推した前尼崎市長・稲村和美氏が序盤リードしていた。しかし、ネットの後押しで「疑惑は嘘で、斎藤さんはハメられた」という同情論と支持が急速に広まり斎藤氏が逆転勝ちした。
斎藤陣営が力にしたネットによる情報拡散が、新聞やテレビによる疑惑報道で生まれた斎藤氏のマイナスイメージを覆したことで、「オールドメディアが敗北した」という解説が飛び交っている。
斎藤氏自身も当選を決めた17日夜、「SNSを通じた選挙戦をご支援いただきながら広げさせていただいた。応援してくれる方がSNSを通じて広がるんだという、このSNSの本当にプラスの面をすごく感じたところです」と述べ、選挙でのSNSでの効能を強調している。
SNSの活用に成功した斎藤氏と失敗した稲村氏、との対比で語られる選挙だが、ここへきて稲村氏の陣営は、選挙期間中にネットによる選挙運動が妨害されていたとの主張を強めている。
「稲村陣営もSNSを軽視したわけではありません。しかし支援団体『ともにつくる兵庫みらいの会』が開設したXの公式アカウントが11月6日と12日の2回にわたり、開設して1~数時間後に凍結されたのです。
ヘイトや暴力的なポストを禁じているXは、これら違反行為があるとの通報を受ければ、名指しされたアカウントを運営管理者が凍結する場合があります。しかし会がそうしたポストをしたことはありません。考えられるのは、虚偽の違反通報が一斉になされたということです」(稲村陣営関係者)
22日、稲村氏側は偽計業務妨害罪にあたるとして容疑者を不詳とする告訴状を兵庫県警に提出した。実際に虚偽通報が行なわれたのかや、どのような勢力が行なったのかは県警の捜査を待たねばならないが、稲村陣営の“SNS受難”はこれだけではないと陣営関係者は話す。
「言ってもいないし、そもそも地方自治体の話でもない“外国人参政権推進”を稲村候補が公約に掲げているというデマがSNSで流布されたのです。稲村候補は練り歩きや演説のときに、これを挙げて非難されるということがよく起きました。
また、支持者が稲村候補を応援する書き込みをすると、他の候補を批判する内容でもないのに短時間に数十もの敵意のあるリプが殺到する現象が起きていました。稲村陣営は終盤『あまりにも人がいない』と陰口をたたかれましたが、実はこうしたネットの反応が恐ろしく、耐えられなくなったスタッフが次々と離れていったからなんです」(関係者)