〈最低賃金が国政の重要課題化〉リーマンショックや東日本大震災、コロナ後も大幅引き上げされたなかで令和の賃上げは…
日本の大きな政策課題となっている「賃金」の決め方・上げ方・支え方の3つの側面から徹底解説した『賃金とは何か 職務給の蹉跌と所属給の呪縛』(朝日新書)より一部抜粋・再構成してお届けする。最低賃金が国政の重要課題化した背景や、賃金があがっていった経緯とは。
賃金とは#1
30年代半ばまでに全国加重平均を1500円に
二〇二〇年はコロナ禍でほとんど引き上げられませんでしたが、その後二〇二一、二〇二二年と大幅な引上げが続き、二〇二三年には岸田首相の強い意を受けて全国加重平均が一〇〇四円となり、遂に一〇〇〇円を超えました。なお二〇二三年八月三一日には、岸田首相が新しい資本主義実現会議で、二〇三〇年代半ばまでに全国加重平均が一五〇〇円となることを目指すと発言しています。
ここで、金額表示が時間額に一本化された二〇〇二年度から今日までの地域別最低賃金の推移を確認しておきましょう。最高値はすべて東京都ですが、最低値は二〇二二年度までは沖縄県、二〇二三年度は岩手県です。
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図/書籍『賃金とは何か 職務給の蹉跌と所属給の呪縛』より
写真/Shutterstock
『賃金とは何か 職務給の蹉跌と所属給の呪縛』(朝日新書)
濱口桂一郎
2024年7月12日
1,045円(税込)
304ページ
ISBN: 978-4022952745
日本の賃金が上がらないのは“定期昇給”があるから!?
誤解だらけの「職務給」「ジョブ型雇用」。
沈滞する日本の“構造的”問題点を考える!
日本の賃金制度は、どのように確立されてきたのか。
ベースアップや定期昇給とは何か? そもそも賃上げなのか?
今日の大きな政策課題となっている「賃金」について、「決め方」「上げ方」「支え方」の側面から徹底検証。
上げなくても上がるから上げないので上がらない日本の賃金――その仕組みとは。
今後の在り方を議論するための、基礎知識を詰め込んだ必携の書。
(目次)
序章 雇用システム論の基礎の基礎
第1部 賃金の決め方
第2部 賃金の上げ方
第3部 賃金の支え方
終章 なぜ日本の賃金は上がらないのか