日本人に知っておいてほしいこと
——イスラエルの人たちにとって認めたくない現実だったということでしょうか。
デヴィッド IDF(イスラエル国防軍)はイスラエル社会において非常に神聖な存在で、人々は兵や軍を尊敬しています。その兵士たちがこのようなことをしているということ。それ自体が理解できないのです。イスラエルの人々はパレスチナの人々のことをほとんど知らず、実際のパレスチナ人に出会う機会もないので、パレスチナ人は自分たちを攻撃する悪者である、悪魔であると思い込んでいる。彼らが同じ人間だと考えてみたことがないのです。
モハマド パレスチナの人たちにとっても、イスラエル人の多くは軍人や警察、もしくは自分たちの住まいや生活を奪う人たちであって、それ以外のイスラエル人と出会う機会などほとんどありません。
なぜならもう何十年もの長い間彼らは壁の中に閉じ込められ、抑圧され続けてきたからです。そのような環境でおとなになった子どもたちにとって、イスラエルという存在がどのようなものなのか、考えてみてください。
私自身、子どものころに、イスラエル兵がパレスチナ人たちを笑いながら、楽しむために殴っている風景を見ました。特に2001年以降、イスラエルはガザ地区に何度も攻撃を行っています。そのころに生まれて戦火の中で育った子どもたちは今20代半ばになり、ハマスなどの戦闘組織に参加しているのです。
私はそのことを肯定しているわけではありません。しかしそれは事実なのです。このことは日本のみなさんにも知っておいてもらいたいことです。
#2へつづく
取材・文/岩崎眞美子
イスラエル軍に対する抵抗の投石で逮捕され、数年間投獄された子どもたち。入手された当時の苛酷な尋問の映像を、数年後に4人の少年が振り返りインタビューに答える。逮捕に参加した兵士、イスラエル治安機関の元副部長、人権弁護士、元軍検事のインタビューも収録。優れた教育映像に授与される「日本賞(Japan Prize)」2023年のグランプリを受賞。