著名人が仄めかすトランプ氏の強さ

レイク氏をほめちぎったカールソン氏は、一連のスピーチを終えた後、会場からいくつか質問を受けた。やはり出てきたのが、カールソン氏が、共和党の大統領候補選びで、高齢であることに懸念の声も出ているトランプ前大統領を支持するのか、それとも、まだ40代でフロリダ州知事のロン・デサンティス氏を支持するのかという質問だった。

質問した男性は、「カールソン氏のテレビ番組の大ファンだ」と自己紹介することも忘れなかった。

カールソン氏は、「私が誰を支持するかが、アメリカの有権者にとって大きな意味を持つことはわかっています」と切り出した。そして、まずは、ボクシング界のレジェンド、マイク・タイソン氏にインタビューした時のことを語り始めた。

カールソン氏は、マイク・タイソン氏という著名な人物とのエピソードを持ち出し、質問者を含む聴衆の関心をそちらに惹きつけることで、あまりにも直球すぎる質問をはぐらかそうとしているのだと筆者は思った。しかし、しばらくして、カールソン氏は話を本題に戻した。

マイク・タイソン氏 写真/shutterstock
マイク・タイソン氏 写真/shutterstock

「正直に言いましょう。ええと、私は誰も支持していません。共和党の予備選挙で何が起きることになるのか、私にはわかりません。私はフロリダ州で多くの時間を過ごしています。デサンティス氏は信じられないほどの素晴らしい仕事をしていると思います。

私はカリフォルニア州で育ち、首都ワシントン、ロードアイランド州、アーカンソー州にも住んだことがありますが、知事が誰なのか知らないようなところに住んだことは一度もありません。私はデサンティス氏を愛しています。私が住んでいるフロリダ州のデサンティス知事について多くの人々が言っていることに感銘を受けています」

まずは保守派の若きリーダーの1人と目されるデサンティス氏を称賛したカールソン氏だったが、一通りのことを言い終えると、間髪を容れず、彼が考えるところのトランプ氏の偉大さを澱みなく、長時間にわたって語った。

「さて、トランプ氏は、2016年の選挙に立候補しました。私はそのことを非常に嬉しく思いました。トランプ氏はあらゆることについて、私の視点を完全に変えてくれたからです。例えば、私の父は政府機関で働いていましたが、その頃は冷戦だったので、父はソビエト連邦と戦っていたことになります。

当時、NATO=北大西洋条約機構の存在は重要でした。なぜなら、ソビエト連邦が西ヨーロッパに侵略してくるのを止めていたからです。しかし、その重要性は、1991年に終わっていたにもかかわらず、私は、2016年にトランプ氏がこの問題を取り上げるまでは、考えたことすらありませんでした。トランプ氏は、『NATOに何の意味がある』と言い出したのです。これは私にとってとても重要な問題提起でした」

トランプ前大統領は自らを覚醒させてくれたというわけだ。そして、カールソン氏は、トランプ氏とはメディアの同業者として20年来の付き合いなので、人柄をよく知っているとした上で、「彼が動物的な喜びを発散させているのが大好きだ」とトランプ氏が放つエネルギーに惹かれていることを告白した。