「コイツがうちの女の子を切ったんだよ」
事件当時現場付近の路上にいた男性は、興奮気味にこう証言した。
「サイレンを鳴らしたパトカーがたくさん来て、刺股(さすまた)を持った制服警官が目の前を走っていったんで、何かあったのかと僕も追いかけました。そしたら『H』の代表が、容疑者を取り押さえていました。
容疑者は地面に足を伸ばして座り込んでいて、上からお店の代表が乗っかって押さえてる感じでした。近くには血液がついたナイフが落ちていて、容疑者の左手も血まみれでした。ナイフは果物ナイフみたいなやつに見えましたね」
男性はケンカか強盗かと思い、現場の様子をスマホで撮影し始めた。すると…
「駆けつけたお巡りさんに代表が『こいつがウチの女を切ったんだよ』と叫んでいて、写真を撮っていた僕らにも同様に説明してくれました。
撮影時間を確認したら午前5時51分ですね。代表に『大丈夫ですか?』と声をかけると、『女の子の後ろの壁血まみれだよ。意識もないし、心臓も止まってるしよ』と途方に暮れていました。僕は警察官とほぼ一緒に現着したんで、警官が容疑者を立ち上がらせてパトカーに乗せる一部始終を見ました。
容疑者は暴れもせず、素直に促されるままでしたね。被害者の子は店内で救急隊員のかたに心臓マッサージされていたようですが、布で巻かれていたので僕らからは見えませんでした。その後に規制線が張られることになって僕らも外に出たという感じです」
「H」の常連で週1のペースで通っていたという男性客は、事件の一報を知らずに近くを歩いていた。谷沢さんについて尋ねるとこう驚いた。
「知ってる、わりと出勤多かった子だわ。ぶっちゃけ俺はついてもらっていたわけではないからあんまり知らないけど、まぁちょっと個性的だけどおとなしい感じの子って印象だな。
先週も店に行ってるけど、本当普段通りだったよ。お店はけっこう広いんよ。カウンター席でバーってある感じで。
この容疑者については俺は見た事ないな。そうか。そんな事件があったのか。直接ついたことはないけど残念だな」
ガタイのいい50手前の中年男性と、18歳の女性の間にどんなトラブルがあったのか。捜査の進展が待たれる。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班