それでもサプリメントを摂るべき人

一方、サプリメントを摂る必要がある人もいる。それは次のような人である。

(1)妊娠可能年齢の女性で、妊娠する計画がある場合。

(2)骨粗鬆症があり、食事によって十分量のビタミンDが摂取できない場合。

(3)血液検査によってビタミンB12欠乏症、鉄欠乏性貧血、亜鉛不足による味覚障害などが指摘されており、医師からサプリメントの摂取が指示されている場合。

(4)消化器の病気を有していたり、消化器の手術を受けており、それに伴う栄養の吸収障害がある場合。
例えば、胃を切除すると鉄分やビタミンB12の吸収障害による貧血、カルシウム吸収障害による骨粗鬆症がしばしば起こる。その場合はサプリメントによる補充が推奨される。

特に妊娠初期に葉酸の摂取量が少ないと、二分脊椎をはじめとする胎児の神経管閉鎖障害と呼ばれる先天異常のリスクが上がることが知られている。

妊娠中には通常よりも多い葉酸が必要で、食事からの摂取だけでは不足する可能性があるため、葉酸のサプリメントによる補充が推奨されている。

妊娠が成立する1か月前から摂取することが有効だとされており、妊娠に気づいたころには遅いため、妊娠を計画している女性だけでなく、妊娠する可能性がある女性には葉酸のサプリメントは推奨される。

大部分のサプリメントは無意味! 日本だけで1兆円の市場規模も医学的なエビデンスはなし_4
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また、妊娠24週から1日2.4gの魚油のサプリメント(EPAとDHA)を摂ることで、早産のリスクが減少[*8]し、生まれた子どもが3歳までに気管支喘息や気管支の感染症にかかるリスクが下がる[*9]という実験の結果もある。

魚油のサプリメントは副作用がほとんどないとされているので、妊娠中の女性は摂取を検討しても良いだろう。

例えば病院で鉄欠乏性貧血が指摘されており、鉄分のサプリメントを摂取するように指導されている人はその摂取は続けた方が良いだろう。

味覚障害があり、病院で亜鉛のサプリメントを試してみるように言われ、それで症状が改善している人もいるだろう。

このように、病院で医師によってサプリメントを摂取することが推奨されている人は、食事だけでは何らかの栄養素が不足しているということであるので、きちんと飲み続けてほしい。

まとめると、サプリメントを「なんとなく身体に良さそうだから」と摂取することはおすすめできない。健康上のメリットがなくてお金の無駄遣いなだけでなく、飲み合わせなどで健康被害を生じてしまう人たちもいるからである。

その一方で、妊娠前の女性や病院で何らかの栄養不足を指摘された人のように、サプリメントが健康上有益であると考えられる人たちもいる。

自分がどのパターンに当てはまるかよく考えて頂き、賢くサプリメントを使いこなすことをおすすめしたい。

写真/shutterstock

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