「車も自分で修理していた」

選挙にも出ようとするほどの社会活動家だった臼田容疑者だが、大飯原発が再稼働され、反対運動の中で付き合った女性とも別れて川口の自宅で父と二人暮らしを始めると、死刑廃止や反原発運動の仲間との関係を絶ったという。

その後に自室で独学した法律知識で本人訴訟に打って出ていたことになる。

「裁判には私も傍聴に行きましたけど敗訴しました。本人はそれで『悔しい』というそぶりを見せたこともなく、淡々と家で暮らしただけです」

篤伸さんは敗訴をそう振り返る。ただ、臼田容疑者のものとみられるXのアカウントには、

「なにが首相公選制だよ。その前に制限選挙をどうにかしろやっ まず、選挙供託金制度を廃止しろ!」との全く同じ文言のポストが2022年末まで複数回現れる。

残っている最後のポストである2023年3月の書き込みも「合法闘争で供託金制度を打破するなら選挙無効訴訟以外にない」と記されている。供託金制度への不満は抱え続けていた可能性がある。

臼田容疑者の部屋の本棚(撮影/集英社オンライン)
臼田容疑者の部屋の本棚(撮影/集英社オンライン)

一方、臼田容疑者の関心の対象は広く、自室の本棚にある書籍の題材は、ヘリコプター操縦法や簿記、農業改革、兵器、古事記、枕草子、危険物取扱、金子みすゞの詩集、いじめ、脳死、原子力潜水艦、会社設立など雑多だ。

「息子はなんでも器用にやるから、モノを作るのが得意でメカに強いんですよ。(事件に使われた)軽自動車も、十数年間、あれ一筋。自動車整備もできるから、車検も自分で通していました。独学ですね。小型船舶の免許も持っていて、以前はヨットもやってましたよ」

臼田容疑者の部屋(撮影/集英社オンライン)
臼田容疑者の部屋(撮影/集英社オンライン)

こうした幅広い知識に加え、インターネットのスキルも動員し駐車場で“作業”を続けてきたとみられる。

「駐車場にガソリンはなかったと思いますが、灯油はあったようでしたよ。火炎瓶の作り方? ネットを見れば載っているでしょう。(息子は)調べるのも得意だから」