ガソリンは京アニ事件以上の量を車に積んでいた
男は埼玉県川口市に住む職業不詳、臼田敦伸(あつのぶ)容疑者(49)。
「19日午前5時43分ごろ、軽自動車で自民党本部前に乗りつけ、高圧洗浄機で液体を噴射した上、火炎瓶を5回程度投げ込みました。
党本部の門扉の一部や機動隊車両のバンパーが焼け、火炎瓶は党本部敷地内にも落ちました。その後、約600メートル離れた首相官邸まで車を走らせ、柵に突っ込んだ後発煙筒のようなものを機動隊員に投げつけたところで取り押さえられました。その時に車が炎上しています。火をつけた疑いもあります」(社会部記者)。
臼田容疑者は身柄を確保された際にはガスマスクと防護服を着用しており、さながら生物・化学兵器戦に投入される特殊部隊のようないでたちだった。現場で対応に当たった機動隊員3人がのどの痛みを訴えているという。
SNSに投稿された事件現場の映像では、軽のワンボックスカーは花火のような閃光に包まれており、何らかの可燃性の物質が燃やされたとみられる。
「火を消し止めた車内からは灯油用の18リットル入りのポリタンクが約20個見つかり、うち16個にはガソリンが入っていました。ガソリンの量は合わせて数十リットルあった可能性もあり、これに引火しなかったのは本当に幸運でした。
36人が亡くなった2019年の京都アニメーション放火事件では死刑判決が出ている青葉真司被告が現場でまいて火をつけたガソリンは10リットルで、あれだけの大規模火災になりました。今回も非常に危険な状況にあったと言えます」(社会部記者)
政治の中枢部分に強力な攻撃を仕掛けた臼田容疑者は取り調べに黙秘し、声明文も発表されていないため、動機ははっきりしない。
埼玉県川口市で臼田容疑者と2人で暮らしていた歯科医の父、臼田篤伸(とくのぶ)さん(79)は、臼田容疑者が以前、原発の再稼働反対運動に携わっていたため「原発政策を進める自公政権に不満を持っていたためではないか」と推測している。
だが詳しく聞いていくと、篤伸さん自身、臼田容疑者とは何年にもわたって思いを語り合ったことがなく、臼田容疑者は原発反対運動の仲間とは数年前から関係を断っていることがわかった。